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放射線関係の単位について
質量阻止能と、質量エネルギー吸収線量の意味と なぜあのような単位になるかが、参考書などを読んでも 理解できません。 どなたか教えていただけないでしょうか。 お願いします!
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質量阻止能について。 まず、「阻止能」というのは、物質に放射線が入射したとき、物質中の単位道のり当たりに失うエネルギーですから、 分子に失うエネルギーMeV、分母に道のりの長さcmが来まして、 [阻止能の単位]=Mev/cm となります。 放射線の飛程はセンチメートルオーダーではありませんが、 簡単のため、厚さ1cmの板が多数重なった状況を考えましょう。 まず、 板の厚さ方向1cm(放射線の道のり1cm)当たりに物質の原子が沢山あれば、阻止能は大きくなり、少なければ阻止能は小さくなります。 厚さ方向の原子の数が異なる2種類の板を考えます。 一方の板は、もう片方の板に比べて、1cm当たりの原子数が2倍多ければ、その板の枚数を2分の1にすれば、もう片方の板の枚数とトントンになります。 つまり、阻止能と単位厚さ当たりの原子数とは比例関係にあるわけです。 次に、 1枚の板を床に置き、上からその板を眺めた状況を考えましょう。 面積当たりの原子数が多く見えるほど、板の色は濃く見えます。 色が濃いほど、放射線が入射したとき放射線が原子にエネルギーを奪われる確率が増えます。 したがって、面積当たりの原子数が多いほど、それに比例して、阻止能が大きくなります。 以上のことから、 阻止能 ∝ 厚さ当たりの原子数[cm^-1] × 面積当たりの原子数[cm^-2] ∝ 原子数密度[cm^-3] ある元素を考えたとき、原子数密度は質量密度[kg/cm^-3]に比例するので、 阻止能 ∝ 質量密度[kg/cm^-3] という結果になりました。 物質の阻止能と質量密度とは比例関係にあるわけです。 つまり、 その物質を他の物質とを比較をするとき、阻止能を質量密度で割り算して、 阻止能/質量密度 = 質量阻止能 とすれば、同じ密度でも、こっちの方の物質のほうが阻止能が大きい/小さいといった、その物質の特徴を表す量になります。 よって、質量阻止能の単位は、 MeV/cm ÷ kg/cm^3 = MeV・cm^2/kg (エネルギー × 長さの2乗 ÷ 質量) となります。 質量エネルギー吸収線量の方は習わなかったか、忘れたかで、よく分からないのですが、 どういう単位になっていますか? 教えていただけると、もしかして回答できるかもしれません。
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- sanori
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>>> 質量エネルギー吸収係数はm2 ÷kgです これはフォトン(=光子)の話、放射線で言えばガンマ線の話のようですね。 ガンマ線は物質中に入射すると、指数関数的に減衰していきます。 「減衰」というのは、1個のフォトンのエネルギーがだんだん小さくなるのではなく、ある道のりを進んだ時点で、多数のフォトンのうち、どれだけの個数割合のフォトンが原子(というか、電子)と衝突せずに通過して生き残っていたか、という話になります。 前回の回答のように板に例えると、 1枚目の板を通過した時点で元の2分の1に減衰するとすれば、さらに2枚目の板を通過したところでは元の4分の1、3枚目通過後は8分の1、といった具合です。 板1枚通過毎に、生き残りが半減していくということですね。 これを式で書けば 生き残り = 元の個数×2^(-道のり) となりそうです・・・ ・・・が、しかし! 指数関数のべきの部分は、無次元(単位がないこと)でないといけない、というお約束があります。 このままでは、べきの部分にメートルという次元があります。 そこで、道のりの単位であるメートルを消すために、適当な係数を掛けてみます。 生き残り = 元の個数 ÷ 2^(正の係数×道のり) = 元の個数 × 2^(-正の係数×道のり) 係数の単位を、m^(-1)と決めてやれば、べきの部分が無次元になります。 その係数をμ、さらには、道のりをt、生き残りをN、元の個数をN0 と書けば N = N0・2^(-μt) この式は、たしかに、どれだけの道のりで半減するのかを見極めるのには便利ですが、物理学や工学の慣習として、自然対数の底eを用いて N = N0・e^(-μt) と書くのが常套手段です。 e≒2.7 ですから、μtが1増えるごとに、2.7分の1に減衰していきます。 μが大きいほど減衰が早く、μが小さければ、なかなか減衰しない、ということになります。 つまり、μというのは、物質がフォトンを減衰させる能力の大きさを表す量です。 逆に考えますと、 減衰させる能力が大きいということは、それだけ、エネルギーを受け取りやすい(吸収しやすい)ということです。 以上、話が長くなりましたが、 つまり、 μというパラメータは、ガンマ線が照射されたとき、その物質がどれだけ影響されるか(吸収するか)ということを示すものであるということがわかりました。 ですから、μをエネルギー吸収係数として意味づけすることができます。 μは、当然、原子数密度に依存します。 ということは、前回回答の阻止能と同じ話で、質量密度ρが大きいほど大きくなります。 ですから、μ[m^(-1)]をρ[kg/m^3]で割り算すれば、質量密度当たりの吸収係数という、その物質特有の量になります。 質量エネルギー級数係数μ/ρの単位は、 m^(-1)/kg/m^3 = m^2/kg ・・・ということで、 ガンマ線の減衰を考えるとき、指数関数のべきの部分を無次元にする、というところがポイントでした。
お礼
うわー、わざわざありがとうございます!! 前回と同様、とっても分かりやすくてビックリです! 理解できてスッキリしました。 本当にありがとうございました!
お礼
丁寧で分かりやすい説明ありがとうございました。 質量エネルギー吸収係数については また自分で調べてみたいと思います。 助かりました!!
補足
回答ありがとうございます! とても分かりやすいです! 質量エネルギー吸収係数はm2 ÷kgです