有事法制には徴兵制までふれていないことは新聞を読んでもらえばわかると思います。
徴兵制についての回答は、否定的なことが多いですよね。
憲法上も、職業選択の自由や意に反する苦役に服されないとしていることから、徴兵制はとれないのは通説です。
しかし、9条の問題を別にして、私が自ら自衛官という職業を選び、他国軍人との交流や日頃の勤務から実感したことから別のことを考えるようになりましたので、参考まで読んでみてください。
まず、職業選択ですが、私は明らかに職業として自衛官を選びました。しかし、徴兵制をとる国の軍人は、職業として軍務に服しているわけではないのです。国民の権利・義務で行っているのです。納税と同じレベルでの軍務です。ですから軍務に服している彼らの職業は弁護士であり、バスの運転手であり、大工であり、義務・権利である軍務が終了したならば元の仕事を行うのです。
今日、自衛官は法律の上で明らかに公務員ですが、戦前では、徴兵された軍人は、公務員ではありませんでした。職業軍人という言葉あるとおり、徴兵された者は職業ではない軍人です。公務員が他省庁に出向することはありますが、公務員が徴兵されても出向とはいいません。
軍務に服することが職業ではない以上、職業選択とは別の次元であることがわかります。(軍人イコール職業でない証拠にアメリカの下級の兵が、基地内でアルバイトをしています。)
次に苦役についてですが、体験入隊の経験を書かれておられる方もいらっしゃいますが、軍務は苦役でしようか。
自衛官には、その一生を給食の調理人として過ごす人がいますが、隊員の食事を作ることが苦役には思われません。私自身、年間に鉄砲を撃つことは1回あるかないかですが、確かに究極的には人を死に至らしめること学ぶことはあります。
でも人によっては、人のご飯を作ることが苦痛の人もいますよね。鉄砲の雑誌があるくらい、鉄砲を撃つのが楽しい人もいます。つまり苦役は人により違うことなのです。しかし、人に苦役と感じるかもしれないことと、究極的な公共の福祉を比較した場合、人が苦役を感じるかもしれない行為を強制することも許されるという考えもできるのではないでしょうか。今日でも希にニュースになる土地収用と同じ理屈です。土地の収用が公共の福祉にかなっているから、土地の所有者の意に反して収用されるのです。
このように軍務に服することが職業でなく、たとえ苦役に感じたとしても公共の福祉として優先されるなら、憲法違反にはならないと考えるのです。
もっとも、私の考えは今の人に受け入れられるものではないことは承知していますし、徴兵制を議論する以前に9条を論議すべきだと思います。
最後に、スイスが徴兵制をしていることは広く知られていますが、徴兵制を選択している理由は、職業軍人をなるべく少なくして、軍の暴走を防ぐためだそうです。
お礼
回答ありがとうございました。 自衛隊の方の(クールな?)考え方を伺うことが出来ありがとうございました。 軍人の社会的身分が職業としてだけで捉えられないところに問題点がありそうです。さらに国民側が軍隊をどのように社会的に位置づけて使っているかも重大な問題ですね。日本の国内でこのような議論がされているのを聞いたことがありません。私の発した徴兵制の問いが、まさか軍人の社会的位置付けにまで発展するものだとは、認識しておりませんでした。社会学的にみても論文が書けるような題材ですね。