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超新星爆発って心配じゃないの???
以前、他の質問に対する回答で、 「1000光年以内の場所で超新星爆発が起きた場合、太陽系は瞬時に蒸発する。」とか、「素粒子の単位まで分解される。」とか、書いてありました。 1000光年といえば、銀河系の直径の1% 。これはかなり広い範囲であり、恒星も数万個のオーダーで存在するような気がします。その中には超新星爆発を起こす可能性のある星が沢山あるのでは? ということは、超新星爆発による太陽系の消滅は、現実に起こりうることなのでしょうか? またその確率はどの程度なのでしょう? 心配してみてもはじまらないことはわかるのですが、気になりだしたら止まりません。誰か詳しい方、よろしくお願いします。なお当方は、多少、物理天文の知識があります。
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極超新星の爆発が、仮に太陽系から1光年の距離で起これば、地球の表面は溶融し沸騰し、重力の不均衡や、また爆発の衝撃波で、地球がばらばらに破壊される可能性はあるでしょう。その破片が溶融し蒸発して、最終的に地球は、ガスに帰ってしまうという可能性もあります。 しかし、素粒子レベルまでばらばらになるというようなことは起こらないはずです。それは、ブラックホールができて、呑み込まれた時でしょう。あるいは、中性子星に吸収された場合も、素粒子レベルでばらばらにされるとも言えます。 地球の小さな破片や、蒸発してできたガス雲が、こうして中性子星やブラックホールに落ちて、素粒子レベルにまでばらされる可能性もありますが、それには、かなり長い時間がかかります。 ここでは、推算で、太陽系から5光年の距離以内で、極超新星爆発が起こる確率を求めてみます。いまは、そんな超新星になりそうな巨大恒星は、太陽系の20光年以内にはないようですが、将来、どうなるか分かりません。太陽系も他の恒星も、銀河回転運動を行っており、また不規則な運動もあるからです。 過去1000年間に、距離1万光年以内で、極超新星爆発は、4回起こったことが、分かっています。これは少なくとも4回で、人間が観察していない超新星があったかも知れません。 ただ、概算で、どこかで計算間違いしているかも知れませんが、1万光年離れた距離で、極超新星爆発が起こると、その最大光度は、太陽の1億倍になることから、この時、超新星は、-2等の明るさに見えるはずです。 1千光年離れた距離なら、-7等、百光年離れている場合は、-12等です。過去1000年のあいだに、-5等の明るさの星が出現すれば、東西の誰かが観測し、記録に残しているはずだと考えられます。(5千光年の距離だと、-3.5等になり、これだけ明るいと、過去1000年間だと、必ず観察され記録されていると考えるのが自然です)。 しかし、多めに見て、過去1000年間で、1万光年以内の距離で、100個の極超新星が爆発したとします。これは記録の25倍の数ですが、これで試算して見ます。 恒星は、銀河の腕に沿って分布しており、立体構造分布もあるので、一様に分布しているのでありませんが、半径1万光年の球のなかに、仮に均等に分布しているとします。太陽付近は、かなり恒星密度が高く、この密度を、半径1万光年の球全体領域に適用するのは、少し乱暴ですが、これは、リスクを高い方に見積もる計算になります。 そこで、半径5光年の球を考え、これと、半径1万光年の球を考えると、両者の比は2000です。体積ですから三乗すると、8X10^9 です。同じ半径5光年の球のなかに、極超新星と太陽がたまたま入っている確率というのは、1/(8*10^9) ということになります。 1000年は10^3 年ですから。1億年は、その10^5 倍です。100億年は、10^7 倍です。1000年のあいだに100個超新星があったとすると、確率は、100/(8*10^9) となります。これに10^7 をかけると、100億年のあいだに、極超新星が、太陽の近く5光年以内に存在する確率になります。 100/(8*10^9)=1/(8*10^7) で、これに、10^7 をかけると、1/8になります。1000年のあいだに、1万光年の範囲の空間で100個の極超新星があったとして、それが、太陽の5光年以内にある確率は、100億年で、1/8しかありません。50億年だと1/16です。 極超新星は、100個ではなく、10個ぐらいだと考えられるので、1/160になります。そこで、5光年以内から、50光年以内の場所で超新星と遭遇する確率を考えると、10^3 倍になります。従って、50億年だと、1000/160=6.25です。 これだと、10億年に1回ほど、50光年の距離以内で、超新星爆発が起こっていることになります。しかし、50光年だと、最大光度-13.5等ぐらいになり、もの凄く明るいですが、この明るさを長期間維持できる訳ではありません。 しかし、地球の生態系は、これで滅ぼされてしまう可能性があります。超新星爆発の衝撃波や高エネルギー粒子バーストに地球が見舞われるからです。 生物の歴史、数億年で見ると、そういう滅亡の痕跡はありませんので、少なくとも、地球に生態系がある程度出来て以降、そういう事件は起こっていないということになります。 これを、500光年以内にすると、確率は千倍になりますが、この距離だと、リスクは非常に小さくなります。生態系が攪乱される可能性はありますが。そして、古生物学や、古環境学の研究では、そういう厄災は起こっていません。または、規模が小さくて記録に残っていません。 過去3億年では、生態系に大きな攪乱をもたらし、記録に残るような、極超新星爆発は、太陽近辺では起こらなかったことになります。500光年だと、まず安全ですから、100光年以内にすると、50光年以内の場合の8倍になります。 すると、50億年で、50回となります。1億年に一回ですが、この距離だと、何か生態系に後を残しているはずです。現在の知識では、そういう痕跡は見つかっていません。あるいは、生物の大滅亡は、小惑星との衝突以外に、超新星爆発との近接遭遇があったのかも知れません。 しかし、この確率推測は、1万光年の半径の球空間に、恒星が一様に分布しているという仮定の上に置かれています。実際には、そうでないはずです。太陽近郊の1000光年辺りの恒星密度は大きいですが、そこを外れると、銀河腕と銀河腕の隙間の部分も含まれて来ます。 従って、爆発超新星との遭遇の確率は、もっと低いと考えられます。 以上は、非常に大まかな仮定を積み重ねているので、どこかで計算間違いするか、または何かの見積もりが狂うと全然違う確率が出てくる可能性があります。しかし、多めに計算してきました。 そして、過去三億年ほどの地球の生態系が、超新星爆発によると思える影響を受けた痕跡が目下見つかっていない以上、将来三億年についても、生態系が大きく攪乱されるような、接近遭遇はないと推定されます。 また、推定計算で出てきた確率を、地球の生態系の過去三億年ほどの記録が、妥当か、または確率は、それより低いということを保証しているとも言えます。 以上、仮定に仮定を重ねた推算だということは、了解してください。計算原理は、一応明らかにしていますから、検算も可能です。 超新星爆発との近接遭遇による生態系の破壊よりも、小惑星あるいは、それと同等の小型天体との衝突で、生態系が攪乱され、半分以上滅びるイヴェントの発生確率の方が大きいです。 この現象は、6千万年前に起こったことが分かっており、過去数億年において、何度も起こっています。古生代と中生代のあいだにも起こっているはずで、中生代と新生代のあいだで起こった衝突が、まさに6千万年前の事件です。 なお、仮定が多すぎるので、「自信なし」にします。推定計算は、真面目にしていますが、計算間違いしているかも知れず、また、その前提のデータが不確実です。 (アンドロメダ星雲の観察からは、星雲全体でも、極超新星爆発は、100年に100個あるかないかです。実際は10個程度のようです。体積的に、半径1万光年の球よりも、ずっと大きいのがアンドロメダ星雲ですから、大体、1000年に星雲全体で100個とすれば、仮定した、1万光年の球空間で、1000年に10個というのは、妥当な数のようにも思えます)。
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- westpoint
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ガンマ線バーストの原因と言われる「極超新星」と言う凄まじい爆発でも、太陽が100億年間に出すエネルギーを1秒で出してしまうだけです。 ご存じの通り、光など超新星爆発によるエネルギーの伝搬も「距離の逆自乗に比例」します。 と言うことで概算してみると1000光年の位置で極超新星の爆発があったとしても、太陽系に届くエネルギーは太陽から届く光エネルギーの80倍程度にしかなりません。 従って、地球に人間がいなくなることは確実でしょうが「素粒子の単位まで分解される」と言うのはいささか誇張しすぎですね。 しかも、これは「極超新星」であって、通常の「超新星爆発」ではありません。超新星爆発のエネルギー放出はもっと時間がかかりますし、総エネルギー量も「極超新星」爆発の100分の1程度です。 従って、単位時間当たりに届くエネルギーは、地球上に天災地変をもたらす程度で済むでしょうね。 1光年以内で発生すれば、太陽系はきれいさっぱり消えてなくなるかも知れませんが、そんな大きな恒星はご近所には存在しません。
お礼
westpointさんありがとうございます。 1000光年とか素粒子の単位まで分解というのは、大袈裟だったのですね。
お礼
丁寧な回答、ありがとうございます。感謝感謝です。 ちょうど私の知識でも理解できるように説明して下さり、楽しく読ませていただきました。 種々の仮定を危険側に見積もった上で計算しても、確率はごく低いということがよく解りました。また、超新星爆発が起こるのは、銀河全体でもごく稀である(人間の感じる時間の尺度で)ということは、新知識でした! 超新星爆発を現実の脅威のように扱っていたあの文章、自分の中ではSFの部類に分類させていただくとします。