クルマの設計屋です。
1.普通車、としますとガソリン機関が大多数ですが、コイツには排気ブレーキは付けられません。と申しますか、付けても余り効果はありません。
SATTON様御回答の通り、ガソリン機関ではストッロルバルブが吸気側にあり、アクセルOFF時にはこのバルブが閉じて凄まじいポンピングロスを生み出します。この吸気抵抗がエンジンブレーキになります。
2.ディーゼルの乗用車にも排気ブレーキは付いてませんが、これはhardy50様御指摘の通り、乗用車では乗員も含めた荷物の空積重量差が比較的小さいので、空車に近い状態で満足出来る制動力を与えておくと、積載時でも許容出来る制動力を維持出来るからです。
3.乗用車のブレーキは、世界的に見てブレーキペダルのストロークに比例して制動力を発生する方向に進んでいます。これは、この特性の方が総合的には人間の感覚に合うという評価になっているからですが、ペダルで直接エアバルブをコントロールするエアブレーキでは、この特性がなかなか得られません(エアブレーキは、ペダルストローク制御と言うよりはペダル踏力制御に近い特性になってしまいます)。
また、エアブレーキは応答性に難があり、より高速走行が可能な乗用車では好ましくありません(空気は圧縮性を持つ=圧縮して体積変化が発生する物体なので、ブレーキペダルを踏んでからブレーキが作動するまでには、油圧式とは比較出来ないほどの応答遅れが発生します。セミ・トレーラで起こるジャックナイフと言う恐ろしい現象がありますが、エアタンクに近いトラクタ側のブレーキより、エアタンクから遠いトレーラ側のブレーキの作動が一瞬遅れるのも、その理由の一つです)。
4.リターダは大変有効な減速装置の1つですが、しかしそもそも大型車にリターダや排気ブレーキを付けるのは、積載時にブレーキの容量がギリギリだからです。
各車輪に付けられたブレーキに十分な余裕があればリターダも排気ブレーキも不要となりますが、しかしタイヤサイズの関係上、現状以上に巨大なブレーキを付けるのは容易ではありません。
そこで『停止までは出来なくても、減速の補助となるブレーキ』が必要になって来るワケです。
空積差が比較的小さい乗用車では、積載時の制動時に致命的な容量不足が発生するワケでもありませんので、リターダや排気ブレーキは不要と考えられています。
5.排気ブレーキやリターダは、最近ではブレーキランプに連動しているモノもありますが、連動していないクルマも多数走っています。これらのクルマでは、排気ブレーキなどを作動させても周囲に減速の意思が伝わりません。
ブレーキランプがパカパカ点灯するのを異様にイヤがる方もいらっしゃいますが・・・・勿論、真っ直ぐ走っていて無意味に点灯するのは後方に迷惑ですが、しかし減速するのはそれなりの理由があるはずです。
ストップランプと連動していない排気ブレーキやリターダを装備しているクルマでは、ブレーキに余裕がある限り、逆に減速時にはフットブレーキでしっかりストップランプを点灯させるべきではないか?とワタシは考えます。
お礼
ものすごくわかりやすいお答えに本当に感謝いたします。昔からの疑問がとけてよかったです。 以前4トンに乗っていたときに、ブレーキランプ点灯に同じ疑問をもちました。 バスなんかには、注意書きがあったりするんですが?