>しかし、祖母の家計簿が見つかり沢山の貴金属を持っていた事が分かりました。その事を父は知らず、すべて兄に持っていかれていました。この兄の行為は法律に違反するのでしょうか?
法律は次のように定めています。簡単に言えば、「この宝石類は相続人全員のもので、他の相続人に無断で持ち出すことはできない」ということです。
民法第898条(共同相続の効力)相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
第249条(共有物の使用)各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
第250条(共有持分の割合の推定)各共有者の持分は、相等しいものと推定する。
第251条(共有物の変更)各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
第252条(共有物の管理)共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
この兄の方の行為は、刑法では、窃盗罪、横領罪に当たる行為とも言えますが、次の例外があります。
(親族間の犯罪に関する特例)刑法第244条 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
兄の方は、他の相続人から見て直系血族又は同居の親族でなければ質問者さんまたはその父親が刑事告訴すれば、警察は捜査を開始せざるを得ないでしょう。
「直系血族」とは、例えば参考URLの通りです。私は専門家ではありませんから判断を差し控えますが、参考URLを読む限りでは直系血族ではないようですね。
もしそうだとすると事は重大です。窃盗罪、横領罪の規定は次の通りです。
刑法第235条(窃盗)他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法第252条(横領)自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
私が気が付いたことは、過半数の相続人が連名でこの兄の方を横領罪で告訴し、「横領罪に相当」と警察および裁判所が判断すれば、(罰金刑無しですから)この兄の方には刑務所に入っていただくしか方法が無いことになります。
この兄の方は証拠隠滅または逃亡の恐れなきにしもあらずでしょうから、そのことを警察に言って、とりあえず逮捕してもらって拘留してもらう方法もあるでしょう。
本当にこうするかどうかは別として、この兄の方はこういう話をすれば眼が覚めるでしょう。覚めなければ警察に告訴すれば良いだけの話です。
相続はとにかくもめる話ですから、「守るべきルール、法律は守ってもらう」という筋を通した方が返って、争いが無く早期に解決できる、というのが私の意見ですが、相続人の皆さんが決めることで余計なお世話かもしれません。
お礼
とても詳しく教えてくださり、ありがとうございます。 何日も不安で悩んでいました。 話合いでは「守るべきルール、法律は守ってもらう」という意志をしっかり伝えます。