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ベートーベン、ピアノソナタ「悲愴」について

学校の宿題で1楽章について幾つかの質問があるのですが、考えてもどうしてもうまく言葉にできないものがあるので、ここで参考になる意見をお聞きしたいのですが。左手でオクターブを8分音符で弾くところや、全音符で伸ばしながら四分音符を弾く所がありますが、これらの部分がどのように「悲愴」という感情をつくり出しているのか、そして、他にどんなものが「悲愴」を表しているか、リズム、強弱、テンポ、曲の構成などから考える、というような質問です。どんなことでも結構です。こういうところで、「悲愴」を感じるというものを聞かせてください。よろしくお願いします。

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  • nabayosh
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回答No.1

「悲愴」という日本語にとらわれると大変なことになりますので、忠告を申し上げます。 この「悲愴」という言葉を見ると、どことなく<憂鬱>で<悲しげ>で、<ジメーっとしてる感じ>で、<心の中でくすぶってる感じ>だみたいに思われがちですけれども、元の言葉はそんな意味じゃないんですよね。 パトスという言葉があります。この語を形容詞にしたのがPathetischというドイツ語です。さて、ドイツ語辞典で引いてみると、こんな訳語が出てきます。 【激越な、荘重な、悲壮な、切々たる、大げさな】(研究社) はい、注目です。悲壮と書いてありますが、悲愴とは全然違います。壮の1文字が語るとおり、悲しい中にもどこかりりしい感じがあるものです。 パッションというのもこのパトスから出た言葉なので、見当がつくと思いますが、つまり、Pathetischというのは、大体のところこういう意味です。 「胸を打つ強いセンチメンタルな思いに、ひしがれてしまうことはないが、その感動、情動というのは自分の中をふつふつとたぎっている。そんな感情」 ぶっちゃけて言えば、「めっちゃ感動」(←ぶっちゃけすぎ) さて、意味がわかったところで、ご指摘の箇所について、Pathetischな面があるかどうか、ということを考えていこう、という風に話を誘導したかったのですが、実は、楽曲についてうんぬん語る場合、どうしてもひっかかることがあって、そこはPathetischな感情だ、と決めつけることができません。つまりは、感じるかどうかということに統一的な基準はないということです。 だから、僕が「ここは本当にこみあげてくるような思いがうかがえるよね」というのは勝手ですが、marbさんが「そうっかぁ?」と思ったら、ハイそれまでヨ、という訳なのです。だから、まずこの曲の中で自分の好きな部分(パッセージ)を探してみましょう。そしてそれらがどういう意味合いで好きなのかということを自分の中で整理し、共通点を見つけてみる。そうすることで、これがPathetischかな、というのがわかってくる。そうすると、「あんまり好きではないけど、ここもPathetischかな」とか、「わざとらしくてイヤだけど、Pathetischだよな」とかいうものも出てくると思います。 もう1つ、これは曲を書いた作曲家の問題だけでなく、演奏家の問題も関わってきます。フォルテと言っても何デシベルかはちゃんと決まっているわけではないですし、テンポだって揺らす人は揺らしますし、速い人は速い、遅い人は遅いです。メトロノームのテンポも絶対ではないのです。 学校の宿題ということであれば、音大でもない限り、個人の感受性を問うものだと思います。自分はこう思う、でいいのではないでしょうか。それを言葉に表すのは大変だと思います。でも、人から聞くよりはむしろ自分の下手な言葉でも表現した方がよいかな、というのが僕の意見です。

marb
質問者

お礼

丁寧な回答を有難うございました。そうですよね、答えが1つという訳ではないんですね。私が感じたことを書いてみようと思います。

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