貴殿はもともとうつ病やパニック障害・不眠症の疾病があったのでしょうか。もともとうつ傾向があり、精神科のクリニックなどに受診していた場合、相手の社長のパワーハラスメントを法的に訴えるには、次の点を抑えておく必要があります。暴言などについては、場合によっては刑法上の暴行罪・傷害罪が成立する可能性もあるかもしれませんが、彼のどのような発言・行為により、もともと持っていた症状がどの位悪化したかということを立証する必要があります。
まずは、ボイスレコーダーを用意して、社長の発言内容を録音しておいてください。次にその発言を受けて症状が悪化したと思われるならば、主治医の診断書をとってください。そして、(これが一番面倒くさいのですが)、彼を告訴するために弁護士・司法書士等に依頼して告訴状を作成してもらってください。警察は単なる「被害届」では捜査義務が生じないので、貴殿の例のような、立証の困難と思われる民事がらみの事件の告訴はなかなか受理してもらえません。告訴が被害届の提出と異なるのは、告訴状を受理すると警察には捜査義務が生じる点があげられます。警察が告訴状を受理してくれないといった場合には、管轄する地方検察庁に告訴する方法もあります。私は過去に交通事故がらみの事件で加害者を道路交通法違反の容疑で告訴状を作成し、警察が受理してくれなかったので検察庁に告訴をしたことがあります。告訴状の作成にはある程度の法律知識が必要になるので、専門家に依頼するのがベストだと思います。
警察・検察による捜査には「比例原則」というものがあり、その事件の解決に要するコストが、その事件を刑事事件として立件するに値するかどうかという基準があり、検察官の裁量で不起訴・起訴猶予となる可能性もあります。
刑事事件としては上記の方法で訴えることができますが、民事事件として慰謝料を請求するには、その刑事事件で捜査当局が収集した証拠物件を裁判所に依頼して、取り寄せてもらう必要が生じるかと思われます。
民事事件として慰謝料を請求するには複雑な要因があるようですので、採算割れする可能性もあります。以上、ご参考までに。