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電気化学:溶液内での電位分布
2つの電極に電圧をかけると,電位差はほとんど電極界面(電気二重層と拡散層に?)にかかり,それから離れると電位差は殆どなくなる,と参考書に記載がありましたが,その理由が分かりません.どの参考書にもとにかくそういうこと,のように記載があり,明確な理由や測定の仕方などについて触れていませんが,お教えいただけないでしょうか.宜しくお願い致します.
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#3 の回答にあるように,これは結構面倒な問題です. まず,話をある程度電解質濃度の高いときを考えます. この場合,イオンが移動して,たとえばカソードの近くには陽イオンが多くなる,というようなことは,事実上おこりません.どのくらいの濃度的偏りがおこるとどのくらいの電場が発生するかについては,たとえば花井哲也「膜とイオン」に具体的な計算例が載っていますが,濃度差を検出できるような差ではありません.逆に言うと,拡散や濃度揺らぎで消えてしまう程度のずれしかないので,イオンの偏在がおこるというのはほとんど何の意味もないのです. しかし,イオンが動ける形で存在しているということには非常に意味があります.要するに,この部分は良導体であり,ショート状態にあるということなのです.ショート状態という極限状態を考えれば,この部分には電位勾配は発生しないことになります.もちろん,これは直列回路内のどこかに,より電気抵抗の大きい部分があれば,という前提付きです. その前提が何かと言えば,これが電極/電解質界面ということになるわけです.この部分は電気二重層構造による容量成分と,電極反応に対応する抵抗成分の並列回路ですが,いずれにしても溶液バルクの良導体部よりは実質的な電気抵抗としては大きいことになり,その場合に界面層に電位降下が全てかかるという近似が成立します. 電解質濃度が低いとき,あるいはイオンの移動度低いとき等は事情が異なってきます.当然,電解質内の電気抵抗が(相対的にさえ)無視できなくなるのです.この場合は,界面層にのみ電位降下がかかるという近似はもはや成り立ちません. あるいは極端に電解質層の厚みが薄いときは拡散二重層の影響が大きくなり,結果的に溶液内にも電位勾配がかかるという状況になります.
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- ht1914
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#3です。ちょっと補足です。 電圧をかけると電気二重層と拡散層が出来ます。この時イオンが移動します。電圧が低くて電気分解が起こらなければこのままで平衡状態になります。 だから食塩水は電気を通すという表現は正確ではありません。食塩水でもある値以上の電圧をかけないと電流は流れないのです。 「電気抵抗では電気エネルギーが消費される」と考えると反応の起こっている電極表面に抵抗があることになります。濃度勾配だけで拡散している部分では電気エネルギーの消費がありませんから抵抗は存在していません。#4の方がショート状態と言われたのはこのことだと思います。
- ht1914
- ベストアンサー率44% (290/658)
これは本当に理解されていないところです。どの電気化学の本にも載っていますが難しい記述の中に埋もれてしまっていて実感の世界につながらないのです。 例えば食塩水に電圧をかけると電気が流れるというよく知られた現象について書いてみます。溶液に電圧をかけると正イオンは陰極側に、負イオンは陽極側に引っ張られて移動する。電気を持った粒子が移動するから電気が流れる。この様な説明が殆どだと思います。高校の教科書や受験参考書でも電気分解の説明の図にはイオンに矢印を書いて移動を表しています。#1の方の説明も基本的には同じですね。このイメージとアナタの質問とは矛盾するのです。(イオンが移動したら電流が流れるという説明は間違いです。電極表面での電子のやりとりがなければ電流は流れないのです。移動だけでなく反応が起こらないと駄目です。移動は反応によって生じた不足分を補うために必要です。) 電圧のほとんどは電極界面にかかり、それから離れると電位差はほとんど無くなる。境界層から離れたところでは電位差はほとんど無いのですからイオンが引っ張られるということもないのです。濃度勾配による拡散が移動の原動力です。従って一旦境界層での平衡が成り立つと電気分解で物質が消費されない限り移動はないということになります。電圧がかかったことによりイオンが全部電極表面に移動して途中にはいなくなったので電場勾配が無くなったということは起こりません。 電気分解に必要な電圧はせいぜい数Vです。この電圧は学校の実験室でやるときでも工場の大きな電界槽でやるときでも殆ど同じです。途中の部分に電場勾配があるのであれば大きな電界槽では大きな電圧が必要になります。電気分解電圧は極板間の距離に依存した値になるはずです。 境界層の厚みはμmの程度だと書いてあると思います。1μmに1Vかかっているとすると1cmにつき10000Vかかっているのと同じ電場勾配です。誘導コイルで空気中に放電させるときに必要な電圧といわれているものと同じ値になります。この程度で空気の分子のイオン化が起こるという考えです。 帯電体の内部に(家電粒子の海の中に)ある電荷に外部から電圧をかけても殆どその影響は現れないと言うのは電磁気学の始めの方に出てくるスクリーニングという現象に関係するでしょう。
- ginlime
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#1さんに補足します。電極から遠く沖合い濃度は一定ですが、電極にはカソードにはカチオンがアノードにはアニオンが集まってきます。これらのイオンが電極近くで(界面)で拡散層と電気2重層を形成し電位勾配はここで形成されます。ゲリッシャーの式を再確認して下さい。
溶液ですから、内部では荷電担体(イオン)は移動可能ですよね。 電極間に電圧がかかると、電極間に電場ができ、荷電担体は電場に沿って移動し、電極付近に集まります。 一方、電荷が存在するところでは、電荷自体の存在のために電界強度が変化するので、電界強度の変化(電位差)は電極付近に集中する。