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「鳶についての一考察 」って大げさな!
「鳶に油揚げ」って、「鳶が鷹を生む」から来た言葉だと、ヤフー知恵袋で自信満々に主張していた人がいましたが、本当ですか?
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「江戸語の辞典」(講談社学術文庫)の例文から少し考えてみました。 「昔はとびがあぶらげをさらふとて酒屋の御用の手を引かきしものなるが」(寛政3年・世上洒落見絵図) 寛政3年(1791年)に「昔は」とありますから、例えば元禄(1688-1703年)とか享保(1716-1735)年代あたりでしょうか。酒屋の御用聞きが一升徳利を持ち運んでいると、寄って行ってその手を引っかいて奪う振りをする際に言う常用句でもあったのでしょうか。 これより35年後の1826年には、これが「鳶に油揚を攫われる」(文政9年・婦女今川)と、「鳶が…攫う」から「鳶に…攫われる」として、「大切なものを不意に横から奪われるたとえ」となっています。 一方、「鳶鷹」の方では、「鳶の子は鷹にならずとよう云うた者ぢや」(安永2年・御摂勧進帳)と1773年に現れていますが、「美しきおやはとんびにたとへられ」(文化3年・柳多留)はじめ「鳶を鷹」(文化5年・頓豪阿闍利恠鼠伝)「鳶が鷹を産んだ」(文化6年・本朝酔菩提)など、全て文化文政時代からの出自となっています。 「鳶の子は鷹にならず」の当たり前の言い方が、「鳶を鷹にした」といった思いがけなさや、「鳶が鷹を…」といった逆転の妙へと諺自体が変転していったというのが自然に思えます。 従って、諺としての両者の何れかが他方に由来するという説は、それぞれの発生時期や意味合い、またその後の変化の仕方からして、いかがなものでしょうか。
お礼
ご回答ありがとうございました。やはり、二つの言い回しは互いに無関係ですよね。もやっとしていた霧が晴れた思いです。