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併合罪と起訴便宜主義
検察官が起訴しなかった事案について、後に、起訴することはできますか? たとえば、 ・不正アクセス禁止 ・電算機損壊等業務妨害 ・詐欺 の罪状があり、不正アクセスのみで起訴された場合、他の罪状は以後、どのように扱うのでしょうか?
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検察官がいったん不起訴にした犯罪を後日起訴することは可能ですし,一事不再理を規定した憲法39条に違反するものでもありません(最高裁昭和32年5月24日判決・最高裁判所刑事判例集11巻5号1540頁)。実際にも,起訴猶予,又は嫌疑不十分を理由とする不起訴にした犯罪について,後日の情況の変化(例えば起訴猶予処分の直後に被疑者が同種犯罪で検挙されたなど)や検察審査会の起訴相当の議決(検察審査会法39条の5第1項1号)を受けて,検察官が改めて起訴する事例は少なからず存在します。 kanpyouさんが挙げておられる事例については,被告人が不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反の訴因(≒起訴された犯罪事実)でのみ起訴された理由次第でしょうが,電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法234条の2)や電子計算機使用詐欺罪(同法246条の2)といった犯罪事実についても,一般には,公訴時効(刑事訴訟法250条)が完成するまでの間は,後日検察官が改めて起訴する可能性があることになります。 ただし,不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反の罪について有罪又は無罪の判決が確定した場合において,電子計算機損壊等業務妨害罪や電子計算機使用詐欺罪に当たり得るとされた犯罪事実が,起訴された不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反の罪の犯罪事実と同じ行為の法律的な見方を変えただけであるとき(公訴事実の同一性があるとき)には,上記各犯罪事実について改めて起訴することはできません。
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明快な回答、ありがとうございます。