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ボルタ電池では複雑な反応が起きている?
ボルタ電池の起電力は1V程度ですが(分極が起こっていない状態で) 標準電極電位から考えると起電力は0.8V程度のはずです。 以前にボルタ電池では教科書に書いてあるような反応だけではなく 複雑な反応が起きていると聞いたことがあるのですがどんな反応が起きているのでしょうか?
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> 標準電極電位から考えると起電力は0.8V程度のはずです。 それは標準起電力でしょう. 実際のボルタの電池では,標準起電力を考えるための,「すべての反応要素の活量が1である」という条件とはほど遠いうえ,理論的な起電力を求めることが不可能であることも Nernst の式から明らかです. どういうことかというと,たとえば亜鉛側の反応は Zn <=> Zn2+ + 2e で,亜鉛極の電位は E(Zn) = E0 + (RT/2F)ln(aZn2+) となるはずです (aZn2+ が Zn2+ の活量,E0 はこの半電池の標準酸化還元電位). ですが,最初の Zn2+ の活量 (濃度でもいいです) は予測できますか? この濃度が 0 であるのが初期状態であるとするなら,その時点で亜鉛極の電位は負側に発散します.その直後の濃度が予測できないことも明らかです.ただし,反応が始まれば電極近傍ではある程度の濃度で存在するようになるのでしょうが,それは反応による生成と拡散による散逸の影響を受けるわけで,これまた予測はほとんど不可能です.現実のビーカーなどではある範囲に収まってくる可能性は高く,ほぼ似たようなセルを作れば似たような状況にもなるのでしょうけど. 銅側も同じ.水素イオン濃度はわかるかもしれませんが,水素ガスのフガシティは初期状態では 0 であるはずで,同様に電位は正側に発散します. 実際には表面に酸化銅がなにがしかあり,これで初期電位が決まるのでしょう.