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統計力学の分布についての違いとは?
- 統計力学には「ミクロカノニカル分布、カノニカル分布、グランドカノニカル分布」と「マクスウェル・ボルツマン(MB)分布、フェルミ・ディラック(FD)分布、ボース・アインシュタイン(BE)分布」がありますが、これらの違いは何でしょうか?
- ミクロカノニカル分布は平衡における孤立系での分布、カノニカル分布は熱溜に接する系での分布、グランドカノニカル分布はさらに粒子のやり取りがある系での分布です。
- マクスウェル・ボルツマン分布は古典的な極限であり、ボース・アインシュタイン分布はボソンの従う分布、フェルミ・ディラック分布はフェルミオンの従う分布です。これらの「分布」がどのように結びついているのかについて疑問があります。
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まず、グランドカノニカル分布とフェルミ分布 の違いですが、グランドカノニカルの方は、あくまで 『体系』の振る舞いを与えます。総粒子数や総エネルギーが変動する状況における、体系が「ある総粒子数」 と、「その総粒子数のもとでの、各1粒子エネルギー 準位にいくつずつ粒子が分配されるか」の確率を与えるということです。そこまででグランドカノニカル は終わりです。 そのあと、その確率を使って、 『ある1粒子エネルギーεjにいる粒子数njの平均』を求め ます。一気に、体系がある微視的状態をとる確率から、1粒子状態の平均粒子数へと飛躍が生じているわけです。このとき、nj以外の変数 であるni,nk...は、平均をとると分母と分子で帳消しになり <nj>=Σnj・exp[-β(εj-μ)nj]/Σexp[-β(εj-μ)nj]という 式の中に入ってきません、つまりjだけの和になります。それで、フェルミ粒子ならnjに1と0を順次代入して和をとれば、その<nj>=1/{exp[β(εj-μ)]+1}がフェルミ分布になります。 ボーズ分布なら、0~∞までnjについて和をとったものです。つまり、どちらの分布も、「あるエネルギーの1粒子状態にいる 平均粒子数」ということであります。グランドカノニカル分布から導かれる分布ではありますが、グランドカノニカル分布とは分布の意味が異なります。 <<古典統計的なカノニカル分布、古典統計的なグランドカノニカル分布、量子統計的なカノニカル分布、量子統計的なグランドカノニカル分布があるようですが(1粒子状態を考慮する=量子統計だったかと)、それでは「古典ならMB」とか「量子ならFDもしくはBE」とかいう考えは間違っているのか? まず、マクスウェル・ボルツマン分布は分子の速度 分布のことです。もちろん、古典統計にしか使えません。さらに体系の振る舞いや、ポテンシャルエネルギーを考えるときは、古典統計ではボルツマン統計 まで考える必要があります。ボルツマン統計も、 平均の粒子数です。カノニカル分布は、体系が ある微視的状態をとる確率だから、ボルツマン統計とは厳密には異なります。あまり区別されてませんが。 量子論的なカノニカル分布というものは、位相空間を 量子数の組が張る空間に換えるだけで、exp[-βEj]という因子は変わりません。これと、F・D統計などとの 違いは、「1粒子状態にいる粒子数」のような細かい情報は分からない、ということです。それでも、古典統計よりは厳密性を出したいときに有効なのでしょう。
お礼
ありがとうございます。とてもよく分かりました。 >一気に、体系がある微視的状態をとる確率から、1粒子状態の平均粒子数へと飛躍が生じているわけです。 ここの理由がいまいち理解できていませんが、お礼を投稿するのが遅れてしまったため、いったんここで締め切りとさせていただきます。すみませんでした。