有給の申請も結構ですが、まずは残業を拒否されてはいかがでしょうか?有給申請しても、そのような状況では時季変更権の行使が認められる可能性があります。
法定労働時間を越える残業については、原則として労働者の同意なく強要することはできないものと考えます。労働時間を制限することで労働者の健康を保持しようとした労働基準法の趣旨に加え、労働契約は一定の時間労働力を提供することと賃金の支払の合意を中核的内容とする以上、残業は言うなれば部分的な契約の変更であり、契約の一方当事者の合意でなしうるとすることは契約は双方が守らなければならないという契約法の根幹を揺るがすことになるからです。実際問題として考えても、残業命令に文字通りの命令性を認めては、労働者は就業時間外に私的予定を入れることが全くできなくなってしまいます。労働者も終業時間外においては一人の私的生活を営む人間な訳で、このような解釈は労働者の人格を認めないに等しいものと言えましょう。さらに、この議論を休日出勤にも当てはめれば、労働者は24時間365日、私的予定を入れることができなくなってしまいます。労働者を使用者の奴隷とするに等しいことですから、このような解釈は絶対に許してはならないものと考えます。
有給休暇の申請については、業務への支障が顕著な場合は時季変更権の行使が認められています。質問の状況からすると、行使が認められる可能性が少なくありません。もっとも、相当に時間的な余裕があれば(例:3ヶ月前)、たとえ人員的余裕がないとしても、会社はその間に新たな人を雇うなどの対策を講じるべきであり、時季変更権の行使が認められない可能性が高いですね。