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原子軌道の波動関数+-について
原子軌道でよく見る+や-(例えばp軌道では節面に対して+と-となっている図など)の意味がよくわかりません。 波動関数で波を描いてプラスの部分とマイナスの部分があるというのはわかるのですが、実際的には+の部分はどういう状態で、-の部分はどういう状態なのでしょうか? どなたか詳しい方よろしくおねがいします
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波動関数の符号の正負に絶対的な意味はありません。相対的な意味だけがあります。 波動関数ψ(x, y, z, t)はその絶対値の2乗、すなわち|ψ|^2が対象としている粒子の存在確率を表すだけで、波動関数自体は具体的な物理的意味を与えません。 波動関数を支配しているそもそもの方程式、すなわちSchroedinger方程式は線形の方程式ですから、ある関数ψが解であるならばそれを定数倍した関数、例えばa×ψもこれまた解になります。 ただし存在確率|ψ|^2を全空間にわたって積分した値は、確率の定義から当然1にならなくてはなりません。従って上記の定数aは全くの任意に選ぶことはできず、制限があります。 しかしその制限を課してもなお、絶対値が1である限りaには任意性が残ります。つまり1でもよいしi(虚数単位)でもよいし、あるいは(1+i)/√2や(1+√3i)/2でも-1でも構わないわけです。(ただし一度このaの値を決めたら、解析の途中で変更してはいけません) 係数1を採用した時に波動関数がプラスである部分は、係数に-1を採用して解析した途端にマイナスになってしまいます。ですから波動関数がマイナスかプラスかということには本質的な意味はないことがお分かり頂けると思います。 いま例えば、南の方角を正の方向(+1)と決めれば北の方角は負(-1)となります。しかしここで重要なのは「北と南は正反対」ということだけであり、これとは逆に南を負の方向(-1)とし北を正の方向(+1)と約束することもできます。あるいは東を正の方向(+1)とし、西を負の方向(-1)としても全く構いません(この場合南北の対立関係は、iと-iで表現されることになります)。 いずれにしても波動関数が+の部分と-の部分は「何だか良く分からないが、とにかく正反対の性質を持っている部分である」ということだけが重要であり、どちらがプラスかマイナスかということは本質的な意味を持たないとご理解ください。 「+の部分はどういう状態か」という疑問に関しては「-の部分の反対の状態」、「-の部分はどういう状態か」という疑問には「+の部分の反対の状態」とお答えすることになります。「それでは禅問答だ!」とおっしゃるかも知れませんが「反対の性質である」ということだけが本質なのであり、符号の正負自体には意味がないのでこうお答えせざるを得ないのです。
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- KENZOU
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原子軌道関数は動径部分Rn,l(r)と角度部分Yl,m(θ,φ)の積で与えられますね。このうち角度部分を(x,y,z)の直交座標を用いてs,p,d各軌道ごとに書くと(規格化定数は略す) Y(s)=1,Y(px)=x/r,Y(py)=y/r,Y(pz)=z/r,Y(dxy)=xy/r^2,Y(dyz)=yz/r^2・・・となります。例えばpz軌道はz軸に沿って存在しているわけですが,z>0のところで+,z<0のところで-となりますね。他の軌道も同様に+-が考えられます。化学者は2つの原子軌道が重なるとき,+-で互いに打ち消しあうかそうでないかで,popo888さんが答えられているように結合性軌道,反結合性軌道となる理由としました。 >実際的には+の部分はどういう状態で、-の部分はどういう状態なのでしょうか? 原子軌道関数をΨ(x)とすると,Ψの2乗は電子の存在確率を与えますね。この場合,Ψの+-の符号は存在確率に何の影響も与えません。量子力学的にいうとΨの+の部分や-の部分の状態というのは観測できない状態で,ただ数学的に原子軌道関数が-になっているところという意味しかありません。ただし,化学結合等の考察においては上で述べたようなことで軌道の+-をうまく利用しているのですね。
お礼
実際に式でかんがえたことがなかったので、なかなかかかれている式の理解には苦しみましたが、大体理解できました。 どうもありがとうございました
+や-に特に意味はないと思います。 ただ結合のときに+と-だったらそこに節ができるので反結合性軌道に、+と+とか-と-だったら結合性軌道になるといったところです。 だから+と-に状態の違いとかはありません。別に+と-じゃなくて黒と白でわけてもいいんです。
お礼
特に意味はなくて、ただ結合ができるかできないかだけなんですね。 どうもありがとうございます
お礼
詳しい解説どうもありがとうございます。 結局+と-はただ結合ができるかできないかの要素として覚えておくことにします。 ありがとうございました。