私もこれで終わりにするつもりです。勿論、再度回答されるには及びません。
さて、
>>証券会社に言われるまで、それを財務担当者が気がつかなかった」だけでしょう。
>これは違います。将来ビジネスが拡大する発行体とそうでない発行体ではアプローチがと力の入れ方が全然違います。… 世の中には自社の社債利回りがどの程度かを理解している担当者を置いている会社とそのような担当者がいない会社とどちらが多いのでしょう。
私がNo.4で疑問に思ったのは「株が上がったから、それが信用力の向上につながって社債発行が可能になった」と主張されているのか、あるいは「普通社債を出せるようになっていたのに、証券会社に言われるまで、それを財務担当者が気がつかなかった」だけの話か、という事です。 御説明を読ませて頂いた限りでは、「証券会社はその会社への営業にそれ程力を割けなかったし、会社側も自社が社債を出したらどうなるか知らなかったが、株価の上昇をきっかけに証券会社からのアプローチを受けて、会社側が社債発行で金利コストが下げられる事=自分の実力に気付いた」ってな感じの事に思えますが?(「これは違います」じゃなくて、「その通りです」になりそうな気が…)
>> 業績の向上(あるいはその期待)が原因で、株価の上昇と信用の向上はその結果
>株価の動向が常に業績にのみ左右され、市場の思惑などを完全に否定できるということであれば、おっしゃる通りでしょう。そのような論があることも存じております。
私はそのような「論」は全く聞いた事がありませんし、私自身全くそう思っていません。(No.3の第二段落を読んで下さい。「株価が上がったからといって、その裏に必ず業績の向上(期待)がある訳ではない」とか、金利低下の影響についても「現実の動きはそんなに単純ではないが…」とか書いてあるでしょ?。)「最終的にはファンダメンタルズに収斂する方向に動くだろう」という程度ならよく聞くし、個人的にはそう思っていますが…。
「業績向上(あるいはその期待)が原因で…」と書いたのは、私が「株価の上昇は信用力向上を結果としてあらわしただけ」などといった考えを持っていると、yohsshiさんが誤解しているかと思ったから、その誤解を解こうと因果関係をハッキリ書いたんですよ。「株価の動向は常に業績にのみ左右される」なんてムチャな事は全然考えてません。(そんなに私の文章ってわかりにくいのかぁ…)
>株価が上昇した事で一時的にでもその企業のファンディングは楽にならなかったという例は皆無と言いきれるのでしょうか。
いたかも知れないし、いなかったかも知れません。要するに皆無だったと言い切る理由はなにもありません。いたとすれば、随分、能天気な銀行や債券投資家だとは思いますが。(勿論、もしITがらみで盛り上ったエクィティファイナンスがらみであれば、No.3で述べたように、楽になった会社はあっても少しも不思議じゃありません。)
でも、yohsshi さんは「一般論」を語られてきたのではないんですか?私自身はそうしているつもりです。質問者も、例外よりはむしろ一般論を教えて欲しいのでしょうから、わざわざ「ITバブル」と状況を限定して、そこでは「皆無とは言いきれないだろう」って言われても、ちょっとどう対応したらよいのか…。
>>金利コストの低下と信用力の向上は、全く別のもので
>ごめんなさい。これは全く理解できませんでした。
>社債の金利の決定は、期間に該当するベンチマークの金利(国債や円SWAPレートなど)の位置と会社自身の信用リスクに連動するクレジットスプレッドの合計により決定されると思っていました。少なくとも信用リスクの低下(信用力の向上)という面では金利コストの低下を享受できます。
社債の金利=国債(or Swap)+クレジットスプレッドっていうのは、細かい話を除けばその通りです。でも、そんな事はここではどうでもいいんです。
そうじゃなくて、yohsshi さんがNo.4で上げたのが、単なる「株価の上昇で良い事がある一例」ではなくて、「株価上昇→信用力向上→金利コスト低下」の例としてだったら、それでは「金利コストの低下から信用力の向上を類推(結論付け?)していないか?」、って事です。だから、「金利コストの低下と信用力の向上は別物だ」と言ったし、わざわざ「信用力向上以外の理由で金利コストが下がる例」として、「調達ソースの違い」(=まさにNo.4の例はそうだと思う)をあげているんです。専門家が「調達ソースの違いからくるコスト差」と「同一ソース(=この場合社債)内の信用力の違いからくるコスト差」をごっちゃにしちゃイカンですよ。分けて考えるのが普通でしょ?
あるいは、単に信用力の向上とは関係のない「株価が上がって良かった一例」を言っただけだったなら、そう言って頂ければ良かったんです。
現在の銘柄選定基準について
No.3の冒頭で申し上げたように、No.1で仰られている意見は、今の日本の状況によく合致していると思っています。No.6の末尾近くもそうでしょう。でも、私がNo.3で言わんとしたのは、「株価が信用力ひいては調達コストにそれ程の影響を与える状況」を本当に一般化してしまって良いのか、って事です。私がNo.3で書いたように、またNo.6でyohsshiさんが言われたように、株価は業績だけで決まるものではありません。そんな株価を見て、例えば1ヵ月で2割上がったから、それを見て「貸出金利を下げて良い」、「債券を今までより高値で買って良い」などと、銀行や投資家が考えるでしょうか?株価は人の目を引くきっかけには成り得ても、債権者にとって肝腎なのはその会社のキャッシュフローの確実性でしょ?
低格付で株価が下がった銘柄を売りたがるのは、投資家が持っている情報は常に不完全だから、危なそうな会社については、もしくは今の日本みたいに経済全体が危ない状況では、皆疑心暗鬼になって、株価に現れる他の投資家の動きから、影響を強く受ける投資家が特に増える、って事でしょう。こういうのを「市場に殺される」っていうんですよね。(現実に今それが起きている事を否定しようなんて思っていません。)
だから、今は現象面ではNo.1やNo.6(末尾近く)の方の通りであっても、一般論を述べるのなら、本来は、株主と債権者は利害や目的が完全には一致していないから、理屈かつ平常時の現実としては、「株価の上下→信用力の上下→資金コストの低下」ではなく、「業績の向上等によるキャッシュフローの確実性の増大→信用力の上下→資金コストの上下」である、と理解しておいた方が良い、というのが私の意見です。(至極普通の意見だと思っています。)額面割銘柄の「信用力」は、おそらくいつでも「ひどい疑心暗鬼」の対象ですから、おそらくいつも株価の影響を強く受けるでしょう。でも、それを市場全体に一般化できるでしょうか?(現実を説明されているNo.1と私が理屈を説明したNo.3で見事にセットになったと勝手に思い込んだんですが…。)