まずは、摩擦力のおさらいから。
1・摩擦力は垂直荷重に比例する。
2・摩擦力は、「みかけの接触面積」に無関係である。
3・すべり摩擦力は「すべり速度」に無関係である。
これが、金属同士等の堅い物質同士の摩擦力に適用される「クーロンの法則」になります。
これに対して、ゴムと路面の摩擦特性はちょっと変わっていて、
1・摩擦係数は接地面圧が小さいほど大きい。(同じ荷重の場合、見かけの接触面積が大きいほど摩擦力、摩擦係数が大きくなる)
2・すべり摩擦力は、「すべり速度」により異なる。
3・摩擦力は温度により異なる。
これは、堅い金属同士の摩擦と違い、ゴムと路面(堅い物質)という特殊な条件なので、クーロンの法則から外れてしまうからです。
物体は、平坦に見えても実際はミクロな凹凸があり、その凹凸同士が接触していて、これが本当の接触面積(真実接触面積)になります。
この接触している物体に荷重が加えられると、ミクロな凹凸が変形し、真実接触面積が見かけの接触面積に近づくことで、摩擦力が増えていきます。
ところが、この荷重が大きくなっていくと、真実接触面積は見かけの接触面積以上には大きくならないので、「荷重と真実接触面積の比例関係」を超えて、クーロンの法則から外れてしまうので、「面圧が低いほど摩擦係数が大きい」という特性になってしまうのです。
(面積が大きいほど、摩擦係数が大きくなる)
また、タイヤの温度が上がると、ゴムの表面が柔らかくなり、真実接触面積が増えるので、摩擦係数が高くなります。
そして、スピードが上がると、ゴムの表面の凹凸が路面の凹凸にしたがって変形と復元を繰り返し、この周期的な変形で運動エネルギーが消費されることにより、摩擦力が発生します。
これが、「変形損失摩擦力」といい、タイヤならではの特性になります。
ちょっと長々と書きましたが、理科や物理で習った基礎(堅い物質同士、同じ物質同士)と、タイヤ(軟らかいゴムと堅い路面)は全く違う特性ですってことです。
お礼
ご回答ありがとうございます。なんとなくわかりました。