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夫婦間での強姦罪成立の有無
強姦罪についてですが、夫婦間でも力づくで夫が妻とやれば、強姦罪成立の余地があると聞きましたが、その場合、どの程度の強制力が必要でしょうか。通常の強姦の時と全く同じ条件でのみ成立するのでしょうか?判例等はあるのでしょうか?
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1 どの程度の強制力が必要か 強姦罪(刑法177条)にいう「暴行又は脅迫」の程度は、被害者の抗拒(=抵抗)を著しく困難ならしめる程度のものであれば足りるとされています(最高裁昭和24年5月10日判決)。 なお、強盗罪(同法236条1項)の「暴行又は脅迫」の解釈についてですが、財物の奪取行為が強盗罪となるか恐喝罪となるかは、その暴行又は脅迫が社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のもの(*1)かどうかという客観的基準によってきまるとされています(最高裁昭和24年2月8日判決)。つまり、強姦罪でいうと、「性交に応じなければ子供を殺すぞ。」と脅迫して性交に応じさせたところ、実は被害者は子供嫌いで、「子供なんて殺されたって構わない。でも面倒は嫌だから応じてやるか。」と考えて、性交に応じたのだとしても、強姦罪は成立する(*2)わけです。 2 非夫婦間のケースと違いがあるか 解釈論上、暴行・脅迫の程度に差異はありません。 しかしながら、martinbuhoさんやIslayさん、keikei184さんがご指摘のとおり、夫が行った暴行・脅迫が「妻の抗拒を著しく困難ならしめる程度」に達していたか否かという事実認定に、婚姻関係に基づく性交応諾義務の存在が関係してくることは避けられないと思います。 要は、見知らぬ他人同士であれば「被害者の抗拒を著しく困難ならしめる程度」に達していると考えられる暴行・脅迫がなされた場合でも、夫婦間であれば、例えば「ソフトSMプレイの一環」などとして、「被害者の抗拒を著しく困難ならしめる程度」に達していたとは評価し難いという認定がなされる可能性があります。 3 裁判例はあるか 広島高等裁判所松江支部昭和62年6月18日判決が、夫婦間での強姦罪の成立を認めた事例として広く知られています。 ただし、事案は、夫が友人と共謀して妻を輪姦した(*3)、というものです。 以上、ご参考になれば幸いです。 *1 強姦罪が「抗拒困難」で足りるのに対して、強盗罪の「反抗抑圧」が要求されます。強盗罪の成立に要求される暴行・脅迫は、程度が高いわけです。 *2 脅迫と性交に応じたこととの因果関係が欠け、強姦未遂罪が成立するにとどまります。強盗罪に関する最高裁昭和23年6月26日判決ご参照。 *3 記憶が不明確ですので、出典である「高等裁判所刑事判例集」40巻1号71頁に直接当たってご確認いただきたいのですが、夫婦関係が「輪姦」前にほぼ破綻していた事案ではなかったかと思います。
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- keikei184
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婚姻契約上、夫婦はお互いに性交渉に応じる義務があるとされています。このため、長い間夫婦間には強姦罪は成立しないと解釈されてきました。暴行・脅迫を手段として性交渉を迫っても、これに応じるのが配偶者の義務であるから、強姦罪の成立の余地はないという訳です。夫婦間の強姦罪を認めた判例はIslayさんが挙げられているケースがありますが、これは、夫婦関係が実質的に破綻していたという少し特殊な事情が事情があるため成立したもので、単純な夫婦間の強姦を考えるときにはあまり参考にはならないでしょう。 しかし、如何に夫婦間と言えども、暴行・脅迫を手段に性交渉を強要した場合、これは個人の法益が大きく侵害されていることは間違いありません。「法は家庭に入らず」ということで、夫婦間の問題に関しては放置されてきたのではないでしょうか。この考え方は近年改められつつあり、学説も夫婦間に強姦罪が成立する可能性を肯定するものが数多くあります。判例はありませんが、おそらく夫婦間の強姦罪を認める判決が出るのも時間の問題だと思います。 仮に夫婦間に強姦罪が成立しうると解釈した場合、その成立要件は、夫婦間ではない場合に行われる強姦と異なるのかどうかと言う問題ですが、これは夫婦間で行われた強姦の方が、成立要件が厳しいと考えるべきでしょう。通常の強姦罪においても、それを強姦罪として立件するには被害者が身体に怪我を負っていなければ困難なことです(多くが強制わいせつとして処理されます)が、夫婦間で行われた場合は+αの暴行・脅迫が必要であると思われます。先ほども述べさせていただいたように、夫婦にはお互いが性交渉に応じる義務がありますから、暴行・脅迫を用いた場合でも、これと相殺されて要件が厳しくなると思います。夫婦の関係や暴行・脅迫の程度を総合的に勘案して、夫婦間に強姦罪が成立するかどうかが判断されるでしょう。
お礼
そうですね。最近は警察も家庭の中に介入することが多く、夫婦間の暴力であれば、DVとして厳しい処罰を下していますので(ほとんどが逮捕事案に発展している。)今後は強姦罪についても、認められやすくなるかもしれませんね。ありがとうございました。
- Islay
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力づくでと書かれてますが、性には多様性があると解釈されていますし、通常の夫婦間では強姦罪成立の事例は少ないであろうと思います。 夫婦間において成立した判定では1986年の鳥取地裁判決が有名ですが、これは婚姻状態がほとんど破綻していた夫婦において夫が友人と共に妻を輪姦した、という事件です。 逆に言いますと現在までの考えでは、ここまでやらないと夫婦間に強姦罪は成立しない、ということが言えるかと思います。 1対1の関係であれば、ケガ等をさせない限り難しいのではないでしょうか。 ですが、最近個人の尊厳や男女に対する認識が変化していますので、これからもそうであるかは解りません。
お礼
やはり一般的には難しいみたいですね。ありがとうございました。
婚姻の目的は、細かい点は省略して、夫婦が協力して子孫を作り育てることだと思います。従って、男、女に関係なく夫婦関係を拒むことは出来ません。男子としての能力を失ったとき、妻は離婚を求めることがあり、性格の不一致ということで離婚が認められたケースがあります。同様に妻が性交を拒み、或いは事故、病気などで受け入れられなくなったとき、男性が希望すれば離婚の理由となる筈です。 拒む妻を力ずくで犯してもよほど特殊事情が無い限り強姦とは認められないでしょう。しかし、現実問題としてそのような事態が続けば妻は精神的に耐えられなくなるので、条件はともかく、離婚に至ると考えられます。 >通常の強姦の時と全く同じ条件でのみ成立するのでしょうか? 通常の強姦は夫婦間ではないので比較出来ませんよ。 以上法律論は分かりませんので私なりの常識論です。
お礼
なるほど、参考になりました。
お礼
詳しい説明ありがとうございました。参考になりました。事案ごとに考える必要がありますね。