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なぜレイコさんとワタナベ君は寝たのか?
村上春樹著「ノルウェイの森」に関する質問です。 私はこの小説があまり好きではありません。読んだのは、もう何年も前の事ですが、時々何の脈絡もなくふと思い出しては割り切れない思いになったりします。 なぜ作者は、最後の最後にレイコさんとワタナベ君は4回も交わる設定にしてしまったんでしょう?最初読んだとき「なんでー!どうしてそうなるの?気持ち悪い」と思いました。この部分が私の中でネックになっているような気がします。 まったく重箱の隅をつつくような質問で申し訳ないのですが、良ければ皆様の考察をお聞かせ下さいませ。
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村上春樹の好む「儀式的なセックス」のモチーフの表れだと思います。 直子の死を悼む儀式の「締め」とでも言えばいいでしょうか。 儀式の最初から、2人は日常とは異なるモードに入り込んでしまっていて、 そこでは一般社会のモラルや常識が意味を成さなくなっている。 恋愛感情や性欲といった動機からではなく、いわば共感の最大限の表現として ここではセックスが営まれたという感じがします。 「セックスをしない」という直子との約束を破るというところに 直子の喪失を乗り越えるための儀式という意味合いが表れており、 また、その相手が、大家におばと紹介しており、また直子にとって 肉親ともいえるほどの精神的なつながりを持ったレイコさんであるというところも 近親相姦のモチーフが表れており、神話的・儀式的な意味合いを強くしていると思います。
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- cac31090
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村上春樹の作品にはセックスが多いですね。 そういう場面を書くのが作者が好きだから、と理由はそれだけかもしれません。 文章が上手くて雰囲気が面白くて、村上春樹の作品はどれも好きですが、セックスシーンは余計に思うことがあります。
お礼
そうですね。私も余計に思う時が時々あります。元気な時はいいのですが、ちょっと疲れていたりすると「はあ、ここ読まなくちゃ進めないな。よっこらしょ。」という感じで義務的に読むことがあります。 そしてノルウェイの森の上記のシーンでは、小説を終わる上で小説表現として必要なのだろうけど、なにもこんな終わらせ方にしなくたって・・・と思います。 ご感想ありがとうございました。
セックスと死がたくさん出てくる小説を書きたかった、 と村上春樹自身がどこかで言っていたはずです。 エロス(性=生)とタナトス(死)は文学の二代テーマですから。 「なんで?」ということなら、ほかの女の子との関係だって 私的には???な部分があります。 でもこれは小説ですからね。 物語の展開上、必要だったのでしょうね。 どうしてワタナベ君はあんなおばさんと4回も、 などと現実的に考えてはいけません。 直子の死後、ワタナベ君は精神的におちこみ、 緑と会うこともできなくなってしまっていた。 レイコさんと会い、二人で語らい、直子の葬式をし、 レイコさんに励まされて精神的に立ち直るんですね。 死んだ直子の世界からミドリが待っている現実の世界へ主人公が戻っていく過程、主人公の魂が再生する過程として、このシーンが必要だったのではないですか? だいぶ前に読んだので細部は忘れてしまい、うまく説明できませんが…(^^;)
お礼
直子を囲む二人が直子の死を乗り越えるために「セックス」をするという表現にびっくりしてしまった感じがします。レイコさんとワタナベ君のセックスはあまりにも唐突に思われたから。なんでもありかよ!的なやりきれなさ、というか割り切れないというか無常というか、そんな不安定な感情が持ち上がりました。 インパクトがあると言えばあるのですが、そういう表現は私にとって「受け入れられにくい」「あまり好きじゃない」伝え方だったと思いました。それがきっと整理されずにずっとネックだったのでしょう。 ご感想が聞けてよかったです。返答ありがとうございました。
- now77
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うーん。私もこの小説を読んでぐったりしてしまいました。 でも気になって読みきってしまうからちょっと怖いなと。。 レイコさんとワタナベくんがどうして寝たのか、明確な答えは 分かりませんが、全体的に「個人でも、他人でも、恋人でも、親でも、誰も何一つ どうすることもできない力」というのが働いているように思いました。 だめなのは分かっているのにどんどん落ちていってしまう力というか、 彼女も結局は自殺してしまうし、誰も救うことが出来ない不条理があると 言いたかったのかな(わからないのですが)そんな様々な不条理の力の 象徴だったように思いました。 ラストにはついにワタナベくんも狂ってしまいますし・・・。 にしても、あんまりにもアンハッピーな小説は疲れますね。
お礼
コメントありがとうございました。「ぐったりしてしまいました」という感想に同感です。 「不条理の力」という言葉が印象的でした。報われない、割り切れない感が残る作品です。そんなに悪くない小説ですし、人物設定だって良いと思うのに、最後の最後で疲れてしまいます。ご感想が聞けて本当に良かったです。 ありがとうございました。
お礼
「共感の最大限の表現」という言葉に納得しました。「儀式的なセックス」「共感の最大限の表現」「直子の喪失を乗り越えるため」、多分その通りなのでしょう。 小説を読む者としては、終わりにこのような展開にする事で、重要なことを伝える為の間接的表現というのは理解できるのですが、一読者としてはこの表現法はあまり好きではありません。なんというか「文学的としてはよく出来ているけど、こういうのは好きじゃないな」という感じです。 ご感想ありがとうございました。よく理解できました。