私は児童養護施設に似た機能を持つ情緒障害児短期治療施設という児童福祉施設に事務員として勤務しておりました。
全体的な傾向として近年、虐待のケースが多々見られ、今後もそのような児童が増えていくのではないかと思います。虐待には肉体的虐待、性的虐待、精神的虐待、ネグレクト(育児放棄)といったものがあげられるのですが、なかなかこの事態に強権的に対応できるはずの児童相談所も相手の親の親権に過剰に反応して腰が重いのも現実です。
勤務していた感想としては、あまり精神的、肉体的につらかったといったような思いをしたことはありませんでした。なにせ、子どもはとても元気で、自分で身の回りのことは一通りできますので介護といったような重労働はほとんどないと思います。
精神的な苦労としては、もはや家庭機能が崩壊している状態で、監護する能力も経済力もない親が、親権をふりかざして「ワシのガキを返さんかい」といったような場合の対応とか(施設の世話になる児童の親は通常の常識では考えられないような方も結構います)、いろいろな事情で施設を脱走(無断外出)した子どもの捜索など、ピリピリするものもあります。また、児童のケアは施設側と行政(児童相談所など)が連携して行うのですが双方の主張の食い違いがあった場合、相手は官ですので、こちらの事情を理解してもらうのにとても神経を通う作業にもなります。
肉体的な苦労としては夜勤(宿直)があるというところでしょうか。結構、こたえます。(私の母が勤務していた特養に比べれば比較にもなりませんが)。
女性職員の場合、男子児童に「なめられる」こともあります。私の場合では、女子生活指導員よりも恐ろしい事務員として子どもには知られていました。
勤務していてうれしかったこと、子どもが卒園していって自分の力で人生を歩んでいく姿をみて、立派になったなあと感心しました。逆に、これはたまたま、その日とても暇で、裁判所で刑事事件の裁判でも見ようかと思って見にいったら、被告人席に昔、面倒をみていたヤンキー指向(教護)の子どもがいて、手錠をかけられて、裁判長に懲役4年の判決を受けたのを見て、ショックを受けました。