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LCMSでの物質同定について教えて下さい
こんにちは。 私は今GCMSを使って微生物培養液中の未知成分を同定するという実験をやっていますが、GCMSでは水溶性物質の測定に弱点があり、水系試料を直接分析できるLCMSに魅力を感じています。 ただ、LCMSの弱点として、化合物ライブラリーによる未知ピーク同定がGCMSほどは容易にはできない、つまり、GCMSだと出てきたピークをライブラリーのホモロジー検索にかけて容易に候補物質を推定することができますが、LCMSはそれが難しい、というような話を数年前にチラッと聞いたことがあるのです。そこでお聞きしたいのですが、最近でもやはりLCMSでは上記のような未知ピークの同定(例えば培養液を打ち込んで出てきたピークをホモロジー検索して候補物質を割り出す)はGCMSに比べて難しいのでしょうか。LCMSの現状について教えていただければ幸いです。
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「LCMSの現状」については適当な成書が幾つも出ていますので図書館か書店で御覧頂くとして,「最近でもやはりLCMSでは上記のような未知ピークの同定(例えば培養液を打ち込んで出てきたピークをホモロジー検索して候補物質を割り出す)はGCMSに比べて難しいのでしょうか。」についてです。 GCMS でのライブラリーのホモロジー検索は何を対象に行っているかは御存知ですか? これはフラグメントイオンの質量数と強度です。 GCMS で通常用いられるイオン化法は「電子衝撃イオン化(Electron Impact Ionization = EI)」です。そのため,多数のフラグメントイオンが生じてホモロジー検索が可能になります。 一方,LCMS は元々 GC にかけにくい高極性の化合物を分析する方法として発展してきました。そのため,LCMS で用いられるイオン化法は分解を起こし難いソフトなイオン化法が使われます。代表は「エレクトロスプレーイオン化(Electro Spray Ionization = ESI)」です。 このイオン化法はソフトなイオン化法ですのでフラグメントイオンの数は少なく,GCMS の様なフラグメントイオンを対象とするホモロジー検索は有効ではありません。 ただし,対象がペプタイド等の場合は状況が少し異なります。ペプタイドのアミド結合は比較的切れやすく,最初のイオン化で生じたイオンにアルゴンガス等を当てる事で切る事ができます。結果として,アミノ酸残基の数が1つづつ異なるフラグメントイオンが生じます。2個の連続するフラグメントイオン間の質量数の差はアミノ酸残基によって決っていますので,これを元にアミノ酸残基の同定ができます。全部のフラグメントイオンに対してこれを行えば,そのペプタイドのアミノ酸の繋がり(1次構造)を決定する事ができます。 最近では1つ1つ解析しなくても良いように,ペプタイドのフラグメントイオンのデータベースが存在し,測定データに一致する(近い)化合物を検索する事が可能です。 結果,ペプタイドの場合は GCMS のホモロジー検索とは少し意味が違いますが,未知ピークの同定をデータベース検索によって行う事が可能です。しかし,低分子有機化合物の場合はフラグメントイオンが少ない(殆ど無い)ために,GCMS の様なホモロジー検索による未知ピークの同定はできません。
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- au-techno
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難しいと思います。 一般にLCMSで測定する成分は、GCMSより、分子量が大きく、もしライブラリーがあったとしても、なかなかヒットしないと思います。GCMSでも分子量が200-300を超えると、ヒットしにくいのではないでしょうか。
お礼
ああ、難しいですか。。。GCMS並みにLCMSも同定能力があるとうれしかったのですが。。。ご教示を有難うございました。
お礼
詳しいご教示を有難うございます。難しいですか。。。イオン化法も呼び名が似ていても違うのですね。高価な割にはまだまだ発展途上な機械なのですね。