#1です。補足いたします。
植物が果実に期待することは、種子を効率よく散布すること、です。そして、種子には、できるだけたくさんの栄養を与えたい。発芽後の生長が有利になるからです。しかし、遠くまで散布したいなら重い種子は不利になる。ここにジレンマがあります。そこで、種子の散布方法と種子の重量の間で最適なバランスをとる必要があるのです。
熱帯の果樹(熱帯雨林は原始的な森林の姿をとどめていると考えられています)は、栄養のある種子の周りに栄養のある果実をつけて、動物に運ばせる戦略をとりました。これらの果樹では果実は熟する頃には色づき、芳香を放って動物を誘います。
温帯域の主要な樹種、ブナ科の樹木は種子自体にたくさんの栄養を持たせ、動物から種子を守るために固い殻を持たせる戦略をとりました。いわゆる、ドングリのたぐい。ドングリころころと重力によっても散布されますが、種子食性の動物(リスなど)の貯食行動(種をためておく)による散布の効果も大きいといいます。
もっと寒い地域のツンドラなどの林の構成樹種は針葉樹。風によって花粉を飛ばし受粉し、風によって種子をとばし繁殖します。ということで、かなり不効率。実は針葉樹とは熱帯から温帯に広がる被子植物といわれるグループが現れる前にこの地上で栄えたグループ。いまでは環境の悪いところに追いやられているのです。
さて、樹木に関してはこんな感じですが、草は? 実は草は樹木より後になって進化したグループです。この草が種子を散布する戦略にはどんなものがあるのでしょう。
やはり散布のスタイルとしては樹木と一緒で、自力でとばすタイプと、動物を利用するタイプがあります。しかし、動物の利用の仕方に木本と草本で少し違いがあります。草本では大型の動物による散布を期待する例が少ないのです(もちろん、小鳥が重要な散布者であるという共通点はありますが)。ということで、植物は大型の動物に食べられても困らないほど大量の種子をつける戦略をとるか(イネ科の草本など)、甘いが目立たない果実をつけ、雑食性の動物を中心とした消化効率の悪い動物の消化管を通して種子の散布を計るか(タヌキやアライグマ、ハクビシンなどの好む果樹類はこれにあたるでしょう)、動物が忌避する物質をため込んで実を食べられない様にするとともに、警戒のために目立つ実をつけ、誇示する(トウガラシなど)という戦略をとったと考えられます。
さて、動物に散布を頼らない植物の果実の多くは目立たない色をしていますが、その代わり熟したときには物理的に種子が散布しやすい様にさやが開いたりする(オクラやマメ、ゴマなど)。
小鳥ねらいの植物は目立つ、小さい実。ほ乳類目当ての植物は目立つ、比較的充実した(重い)実。
で、ナス。ナスねえ。栄養ないし、どんな戦略かはっきり言って判りません。でも、近縁種は熟したら黄色くなったり赤くなったりしますから、今あるナスは人間様のために品種改良された姿なのでしょう。
ピーマンやシシトウは唐辛子の仲間。本来辛み成分を持っていたたぐい。張りぼての実で動物に警告を発し(俺を食うな!)という戦略をとったのでしょう。
お礼
農作物にお詳しい方でしょうか。理科的にどうかというのが、疑問でしたが、ピーマンが農作物であるということから、私(の長男 中1)としては納得できる回答でした。 お礼を出せるほど、長男の中では、この回答の位置付けがはっきりしていませんので、かわって、私(母親)から、お礼申し上げます。 ただ、彼なりに、わかったぞ、といっているところもあり、得るところのあった、回答でした。 ありがとうございました。