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モーメントの符号
力のモーメントの符号について質問があります。 私の使っている教科書「工業力学 入江敏博著」には「同一の平面内に働く時計回りのモーメントの符号を負、反時計回りを正」と書いてあるのですが、他の教科書やネットを見ていると「時計回りが正、反時計回りが負」と記述されているのも見られます。計算上の都合だけで、どちらでもかまわないのでしょうか?どちらがより一般的なのでしょうか。
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質問者様の事情がわからないので、慎重に答えます。よくわからない場合は補足してください。 (1)「力のモーメントは空間のベクトルだから、単純に正負に区別できない」というのが、たぶん本来の回答です。力のモーメントの定義は、ベクトルの外積を使って、 N = r × F です。rは支点から作用点に向かう位置ベクトル、Fは作用点に働く力です。演算「×」は外積といいます。Nの大きさは、|r||F|sinθです。θはrとFの間の角です。Nの向きは、rからFに向かって近いほうの角に回転させたとき、右ねじが進む方向と定義します。Nは、rとFのどちらにも垂直です。 (例)紙面に図が書いてあって、rが右向き、Fが下向きとすると、時計回りの力のモーメントになります。このとき、Nの向きは、紙面の向こう側に向かう向きになります。反時計回りの力のモーメントの場合は、Nの向きは、紙面から手前に向かう向きになります。 (2)力のモーメントは、ベクトルの成分に分けて考えることができます。 右手の親指・人差し指・中指をフレミングの法則のように垂直にしてそれぞれx,y,z軸とする座標系で考えます。 紙面の右方向をx軸、紙面の上方向をz軸として考えている場合は、紙面内で回転する力のモーメントはy軸方向になります。上の(例)とあわせてみると、時計回りはNyが正、反時計回りはNyが負となります。 一方、紙面の右方向をx軸、紙面の上方向をy軸として考える場合は逆です。時計回りはNzが負、反時計回りはNzが正となります。 (3)そもそも、紙に実験装置か何かの絵が描いてあったとして、その装置を裏側から見れば回転は逆になるのですから、座標軸がない限り回転方向の正負は決められません。 (3)以上のようなことですから、紙面に書かれた図で力のモーメントを考える場合は、上のように座標軸を決めるか、または時計回りと反時計回りのどちらを正にするのかを、まず宣言する必要があります。 「力のモーメントは時計回りを正とする」と宣言すれば、以後の計算はそれに従います。宣言していない場合は、式の形から見分けるしかありません。 分野によっては、何か習慣があるかもしれません。そのあたりの事情はわかりません。 ご質問の趣旨に合わなければ申し訳ありません。補足をお願いします。
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- k_riv
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もともと,構造力学,特に工学系の初等力学では,時計回りが正,反時計回りが負ですが,マトリックスを用いることを前提とした力学以降では,時計回りが負,反時計回りが正とするのが,日本の慣習です。 つまり,日本の工業力学等の初等力学の分野では,「時計回りが正、反時計回りが負」というXY平面座標系で問題を解いていましたが,コンピュータの発達等で,マトリックスを用いて解く必要が生じて,逆になりました。 マトリックス力学では,3次元を視野に於いていますので,平面を表現する場合は,#1さんが(2)で説明されているXYZ座標系(ガウスの右手座標系と言います。x右正,y上正,z手前正)のXY方向を用います。現在の構造力学の最先端は,このマトリックス構造力学が主なのですが,初等(多分,工業力学,構造力学1あたりの教科書)では慣習的に以前の使い方をしています。 近い将来,「同一の平面内に働く時計回りのモーメントの符号を負、反時計回りを正」に統一されるのではないでしょうか。と言いながら,もう30年くらい過ぎて仕舞いましたが,未だに統一されていません。困ったものです。 結局,#1さんの言われているとおり,その教科書の定義の問題であって,中身は同じですが,この定義の部分を常にチェックしていなければならないという,変な状況になっているのです。どちらも正しくどちらも一般的と言わざるを得ないのが現状で,時と場合によって,うまく使い分けるしかないようです。
お礼
ご丁寧な解説、ありがとうございました。どうして符号が統一されていないのか疑問だったのでとてもすっきりしました。座標の問題なのですね・・・。定義の部分を確認し、述べながら問題を解いていこうと思います。 このたびは本当に有難うございました。
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ちょっと記憶があいまいなのですが、材料力学の世界では「時計回りが正」になっていたような気がします。 ベクトルを用いて力を表現する場合は「反時計回りを正」としたほうが自然なので、私は学生時代はずっと「反時計回りが正」できました。(社会人になってからはモーメントの計算をしなくなりました。) 私が大学1年で使った力学の教科書も「反時計回りが正」、ロボット工学の本でも「反時計回りが正」になっていますね。 とうことで、「反時計回りが正」に一票。
お礼
私の使っている材料力学の本では時計回りが正になっていたので、混乱してしまったのですが、同じ材料力学でも教科書によって定義が違うのですね。ありがとうございました。
お礼
とてもご丁寧な解説、本当に有難うございました。外積がいまひとつ理解していないので、復習したいと思います。ちゃんと宣言する事を面倒くさがらずにきちんとしていきたいと思います。