- ベストアンサー
美学・芸術学とはなんぞや?
- 東京芸術大学美術学部芸術学科を受験する予定です。美学・芸術学を学ぶとは具体的にどういう学問なのか知りたい。
- 美学とは哲学の一種であり、美とは何かについて考える学問です。東京大学にも美学専攻があると噂されています。
- 美学・芸術学の入門書や情報を探しています。自分の方向性は間違っていないと思っているので、絶対に芸大で学びたいです。
- みんなの回答 (3)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
芸術学と美学は基本的には似たようなものですが 芸術学の方がより狭い範囲を担ってます。 ようするに、「自然って美しいなぁ」と思うと その美や、美的感情は美学の範囲ですが、芸術は関係ないので 芸術学はこういうものを担当しないのです。 ようするに芸術の造り手の存在を重要視するというか。 平凡社の哲学辞典の「芸術学」の欄を軽く説明して引用しますと 「現代のドイツ哲学において、一般に美学と区別して用いられる語。 美学の概念をもっとせまい意味に限定して、美学とは美の形而上学的ないし 心理的な分析であると考えるのである。」 ☆・・・つまり、前の投稿でイメージより難しいですよ~と言った、 哲学的な美とは何か、とか美には普遍があるのか、とか人が 美を感じるのは何によって、どのようにか、と考える、それだけが 美学で、あとの芸術作品が絡む方は芸術学がもらった! という 考え方です。もちろん美学をやってる方にはそんなのお構いなしに なんでもやります(笑)という考えもあります。 「フランスではラロが同じような傾向の美の概念を立てているが、 美学という言葉はひろく芸術に関する学の意味で用いられ、芸術活動によらない 自然美のようなものは非美学的と考えられている。もちろんドイツ哲学にも グロッセのように美学すなわち芸術学であるという立場や、ランゲのように 美学の対象を芸術に限るとする立場、あるいは新カント学派のように芸術学の 方法を先験的に批判するものが美学であるとする立場も存在している。 新しい芸術学を提唱する人々は、芸術は人間のあらゆる精神的活動を含むことが できる創造的な働きであるから単に受動的に感ぜられる美についての学を もってしては、芸術を具体的に追求することはできないと考えるのであり、 美学は美の形而上学的ないし心理学的な分析であるから、時代的にも 民族的にも、それぞれにつよい個別性を表現する芸術作品は、美学の対象たり えないと考えるのである。 そこには芸術作品の美ではない美、すなわちいわゆる自然美はなんであるかと いう問題があり、美学は美の形而上学的分析と心理学的分析にのみとどまるべ きかという問題がある」 つまり近代になって芸術作品を対象として、今まで見たいな哲学的な問題は いいよ、という感じの学なのです。ただこの芸術学の定義や意義についても 様々な議論があり、私的には美学の中の一派で芸術作品を取り扱う学門という イメージです。 ちなみに平凡社の哲学辞典は日本の哲学界では基本でメジャーですが 作られたのが古いため、最新の研究事情と食い違ってたらごめんなさい。
その他の回答 (2)
- kayako2
- ベストアンサー率38% (19/50)
長くなったので、分けました。 美的概念を考察する美学は極めて哲学に近く、 19世紀後半よりは心理的美学が表れてきます。 初歩では、美術史など、とっつきやすいですが、 選択によっては、形而上学的なものや意味論など イメージよりも難解な場合もあるのでご注意ください。 下のURLは美学を分かりやすく説明している(はず)です(笑) あとは「美学」「卒論」などのキーワードで検索して 実際に学部生がどのような研究をやっているか、多様なさまを 見てみるといいのではないかと思います。頑張って下さい!
お礼
早速、解答ありがとうございます!カントの「判断力批判」が…うんぬん、と 見て、なるほどこれはなかなか手強いかんじですね、美学というのは。 URL、すごく参考になります、ほんとに嬉しいです! そもそも「芸術」「美」という括り方自体すごく曖昧なものだなあ…と思います。(受験の小論文対策で)考えこんでしまいます。 それにしても結構いろんな大学で専攻できるみたいですね。 わたしは美大生(だった)ので、思いもよりませんでした…。 ところで「芸術学」とはなんでしょうか?「美学」とはまた違うのでしょうか?それも御存じでしたらぜひ…。
- kayako2
- ベストアンサー率38% (19/50)
私は哲学専攻ですが、美学の授業もとったことあります。 美学だけで独立している大学は、伝統があったり 特殊な学校であることが多いです。東大、学習院など。 なので普通の大学の哲学科でも美学の先生がいて学ぶことができる場合があります。 内容はまさに美術史と芸術とは何か、など。 「美とは何か」は哲学のテーマでもありますが、美学の方が具体的です。 で、何をやったか、実際の授業を例にとると、 1、現代音楽の成立と発展。ワーグナー以降。 何を目的にして、どのような方法をとって表現したかなどをやりました。 2、近代以降の芸術と社会の関係、芸術は楽しみを目的とした時代から 「天才」が創造するものへと移行した。 3、芸術の歴史と概念。社会の歴史とからめて、ヨーロッパで国立の美術学校が 作られた背景や、その影響。 装飾としての芸術、写実を目指した芸術、など様々な芸術の運動や、その概念 などの勉強。「芸術とは偽の感情を表す」など過去の美学者の学説の考察。 などなどです。で、今年度のうちの大学の美学の授業案内を見ると 「絵画・彫刻・音楽・文学・演劇・映画・建築などの全芸術を一貫する根本原理としてのミメーシス(模倣)原理について、哲学的美学の立場から考察する。考察は古典芸術と現代芸術の双方の代表作品に具体的に言及しながら行う」 テキスト:青山昌文「芸術の古典と現在」放送大学教育振興会 「18世紀中葉に成立した近代美学を支えるいくつかの基礎的概念(創造、芸術作品、独創性など)について検討を加えつつ、近代美学の意義について考察する」 去年「芸術の概念は18世紀なかばに西欧で成立したが、この概念をめぐっては今日まで哲学者・美学者ばかりでなく批評家や芸術家からも多くの理論ないし言説が提出されてきている。その主要なものを、その間の芸術の歴史的変動を視野に入れて紹介する」 某国立大「美学は18世紀中葉に西洋で起こった哲学的学科である。この講義は西洋の近代美学の主要な概念ー美、芸術、自然美、模倣、図式、創造性、かたち、象徴、美的体験、コミュニケーション等等について、その主要学説に触れつつ、それぞれの問題が今日いかなる意義をはらんでいるのかを説明する」 テキスト:佐々木健一「美学辞典」東大出版会 って感じです。美術系なら美術史を一通りみとくといいです。 現代ならアンドレ・ブルトンとか読むと面白いです。18世紀なら バウムガルテンかな? URLはかなり専門的ですが、美学会(美学研究の学会です)のページです。
お礼
今回も即解答、ほんとうにありがとうございました!!! 「美学」「芸術学」に対して漠然としていた思いがクリアになりました。 今まで、ひとりでぶつぶつ考えていたことが、他のひとたちによって 既に論議されていたことであるということが(あたりまえだけど) すごくおもしろいです。勿論実際はかなり!難解なんだろうけど… それとも「正解」がないから難解になるのかな…? ま、それはそれとして。。。 あまり大学に期待しすぎるのは良くない、と経験済みながらも、 やっぱり楽しみにしてしまいそうです。受験がんばらなきゃ☆ ありがとうございました!