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樹なつみ「OZ」のラストの解釈について(ネタバレがありますのでご注意ください)

何気なく本屋で手に取った、樹なつみ作「OZ 完全収録版」、とても素晴らしい作品で、一気に読破してしまいました!内容も考えさせられるもので、大好きな作品になりました。  お聞きしたいのはこの作品のラストの1019の行動についてです。ムトーがリオンに撃たれ、1030に殺されそうになったときに、1019がムトーを助けますよね。ここからの言動をみると1019はムトーが好きだった、ということになるのでしょうか?  また、シャトルで生き残っていたムトーが助け出される場面で、将軍たちの会話「現在 このプログラミングを行った人物の行動を追跡しているのですが」・・・で自殺・犠牲行為うんぬんと言っているのですが、どういうことなのでしょうか。ここの会話の意味がいまいちよく理解できないのです。  私の読解力が足りないせいだとよくわかっているのですが、このままでは感動のラストもぼやけてしまいます。もしわかる方がいらっしゃいましたら教えて下さい。また、「OZ」の好きな所もお聞きしたいです。よろしくお願いします。

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  • ベストアンサー
  • maotarou
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回答No.2

 こんにちは。私もOZ大好きです♪同じ作品が好きな人が増えて嬉しいです♪  私も#1さんと同じで、はじめに出た大判しか持ってないのですが。。。  19は、ムトーのことが好きだったと思います。(ただ、自覚していたかどうかは謎ですが)  ご質問のシーンで、19は「機械にまでキスしてやる気はない」というムトーの言葉に衝撃を受け、パメラプログラムが目覚めたと言っていますよね。  また、19は、パメラのふりをしていたのにムトーに19だと見抜かれた時に涙を流し、「自分の行動が分からない。人間に近づくということは、より不完全になることなのか?」と言っていますね。  本来、機械に衝撃、記憶障害、自分の行動が分からないってことはないと思うんです。でも、19は、ムトーのことを愛することによって、機械としては不完全に、でも「人間」により近しくなっていったと思います。(#1さんの言うとおり、ムトーへの愛が19を人間にしたという解釈だと思います)  また、最後の将軍たちの会話は、まったく#1さんの言うとおりだと思います。  ロボットは自殺できないはずはずなのに、安全なはずのシェルターから外に出て行った(おそらく、ムトーの望みがOZの所産を無に帰すことだったので、その望みをかなえるためには、自分自身も抹消しなくてはならないと思ったのでしょう)19の行動は、機械としては理解不能ですが、愛する人のためには命も捨てるという人間としての行動だと思います。将軍達の会話から、19は、人間として死んだんだなと思いました。  (因みに、ロボットが自殺できないっていうのは、アシモフのロボット3原則の一つだったと思うのですが、ロボットものでは基本的な設定ですね)  OZの好きな場面は、まさにご質問の将軍たちの会話部分です。  人間により近づくことを渇望していた19が、最後にムトーに受け入れられ、自分の命を賭してムトーの望みを叶える。その行動をトレースした人たちは、19のことを人間だと考えるんです。。。。。「望みが叶って良かったね。でもすっごい哀しいよ19」って、すっごい泣きました。  因みに、私が持ってる単行本4巻のラストには、OZがビデオ化されたときの監督さんが、その辺のシーンの解釈を書いていますが、完全版には載ってないですか?(大体上に書いたような内容になってると思いますが)  

yukie116
質問者

お礼

 「OZ」を好きな方はたくさんいるのですね!私は新参者ですが、やはり嬉しいです。  望んでいた人間の心を手に入れることによって、人を愛することを知ったが、それゆえに愛する人の望みのために自分を抹消しなければと思い、それを実行した、ということですね。わたしももう一度読み返したらきっと泣いてしまいますよ。1019・・・  やはり好きな場面はあのシーンですか。わたしも皆さんのおかげで1019の思考が理解できたので、ラストが一番ですね。泣けます。  また、完全版にはラストの解釈は載っていませんでした。でもおかげで皆さんから詳しい、感情のこもった解説をして頂けて良かったです。  丁寧な解説、ありがとうございました!

その他の回答 (2)

  • joy-net
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回答No.3

No2さんが、アイザック・アシモフの「ロボット三原則」について触れられているので…… これは、アシモフが彼のライフワークであったロボットものを書いている中で、作品中に登場させた、未来におけるロボットの行動規範になる規則なのですが、以後、ほとんどのSFで当然のように認知されていったものです。 アシモフ以降のSF作品におけるロボットは、この三原則が組み込まれていると当然のように思われています。 ロボット工学の三原則 第1条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。 第2条 ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が、第1条に反する場合は、この限りではない。 第3条 ロボットは、前掲第1条および第2条に反する恐れのない限り、自己を守らなければならない。       アイザック・アシモフ「我はロボット」より ところが、リオンは人間の命など大切だと思っていなかったですから、この三原則を「人間→リオン」に書き換えてロボットに組み込んでしてしまい、リオンの命令ならば人をも殺せるロボットを作り上げてしまったのですよね。 アシモフについては、彼の作品が数年前から2作、アメリカで映画化されているのでご覧になったことがあるかも知れません。 『アイ,ロボット』『アンドリュー(TVの地上波でもこの間放送されましたね)』

yukie116
質問者

お礼

 アイザック・アシモフ…#1のjoy-netさんから初めてお聞きして、興味を持ったのですが、丁寧に解説していただき、ありがとうございます。  彼の作品を読むことによって「OZ」など、ロボットが登場する作品の理解が深まるのですね。「ロボット工学の三原則」とても参考になりました。確かに1019など、OZに登場するロボット達にも通じていますね。 >ところが、リオンは人間の命など大切だと思っていなかったですから・・・  なるほど、納得です。アシモフの作品を読んでいるとそういう深い解釈が出来るのですね。  アシモフの映画作品は名前は知っているものの、残念ながら見たことはないのですが、是非見てみたいと思います。  皆さんのおかげで「OZ」への理解が深まって、ますます大好きな作品になりました。本当にありがとうございました。

  • joy-net
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回答No.1

私も大好きな作品です。といっても完全版の方は読んでいないのですが、おっしゃったシーンは元の作品にもちゃんとありました。 私は、この作品の中で、自分というものの存在に悩んでいた1019が「心」を持つようになり、「人として」ムトーを愛したのだと思いました。 そして、そんな自分の事を認めてくれたムトーへの感謝と愛によって、 >「現在 このプログラミングを行った人物の行動を追跡しているのですが」・・・で自殺・犠牲行為うんぬん の部分では、自分=1019が、この世に存在してはいけないのだと思い、自殺行為をおこなったのだと思いました。 また、1019を機械としか思っていない彼らに、機械としては意味不明に思える行動だと語らせることで、これを読んでいる読者には、これこそが1019が機械ではなく人間としての心を持ち、そのように行動した証だと伝えているのだと思いました。 私が好きなSF作家に、アイザック・アシモフがいますが、彼の作品には、このような自分の存在に悩むロボットがよく出てきます。それを踏破しているのかなぁと思っていました。

yukie116
質問者

お礼

 1019は人間の心を持った、というのがポイントなのですね。だからこそムトーを「人として」愛し、そして機械にはありえない犠牲行為を行った・・・1019、泣かせますね。  やはりこの作品の大きなテーマはロボットにあると思いますが、遠い未来にこんな自我を持ったものが生まれるのかと考えるとなんだか複雑な感じがします。  アイザック・アシモフの作品は読んだことが無いのですが、「自分の存在に悩むロボット」興味深いですね。是非読んでみたいと思います。  丁寧な解説をありがとうございました!

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