臭いの粒子は空気中の湿度によって伝播する量と距離が変化すると言われています。
湿度が高いと匂いがキツく感じられるのはそのせいで、付近にカビなど悪臭の元があれば嫌な臭いとして伝わり、いい匂いの元があればいい香りと感じるということでしょう。また、雨が降り出すと土の香りが強くなったりしますね。
東風(こち)吹かば匂い起こせよ梅の花.....なんて昔の人は詠んでいますが、東風というのは雨の前触れとして湿度を運んでくる風のこと。初春の乾燥した大気の中にあっては感じなかった梅の花の香りが、湿度が上がることによって鼻腔に達するということでしょう。
こんなことを昔の人が知っていたかどうかは分かりませんが、日本人独特の細やかな感性が自然の原理を肌で感じていたのだなあと感心します。
同様のこととして、大気が乾燥しているヨーロッパなどではかなり強い香水が発達していますが、こと日本では年間を通じて湿度が高いことからその香りが強すぎるぐらい香り、かえって不快感を呼ぶということもあります。これは余談でした。