人生の先輩からの言葉
今まで、見ず知らずの人から心に入ってくる言葉をかけられたことはありますか?
先日、友人が旅行にいった際に、タクシーの運転手さんに親切にされた話を聞いて、
ふと自分が昔出会ったタクシー運転手さんの話を思い出しました。
5年程前の話になります。
結婚を決めて、新居に引っ越し、新たな一歩を踏み出した途端の話です。
一緒に暮らし始めた途端、彼の態度が一変、パワハラ・モラハラ・DVが始まりました。
仕事も辞め、地元を離れ、誰も知らない土地で暮らし始めた私には、とてもつらい状況でした。親に心配をかけたくない、かといって頼れる人も近くにいない・・・
その時ふと、学生時代の友人がそれほど遠くない距離に住んでいるのを思い出し、藁にもすがる思いで連絡をとり、彼女のアパートに一時避難をすることにしたのです。
早朝仕事に出かけた彼を見送るとすぐ荷造りをし、部屋を出ました。
右も左もわからず、まともに電車やバスにも乗れない私が、彼女の部屋に行くための手段はタクシーしかなく、やっとのことでつかまえたタクシーに飛び乗りました。
行き先を告げ、「解放される」と思った瞬間、涙が出ました。
その時、運転手さんが「失礼ですが、つらいことでもあったのですか?」とおそるおそる聞いてくれたのです。
それまで彼以外の誰一人とも話もしていなかった私は、今まであったことをただただ運転手さんに聞いてもらいました。運転手さんは、私の話に時々相槌をうち、黙って話を聞いてくれました。
そして運転手さんが言った言葉は「別れましょうよ」でした。
人様の夫婦関係に口出しをすることはご法度だけれども、これから先のあなたの人生を考えれば、そんな人と一緒にいるのは難しいですよ、あなた自身が死んでしまいますよと。
運転手さんは、私と同郷の方でした。地元で仕事がなくなり、家族を残して単身こっちでタクシー運転手をしているということでした。
夫婦は、様々な問題に直面するし、自分自身もそうであった。でも、歩み寄ったり妥協をしたり、いろんな形で乗り越えてきて今があるという事を話されていました。離れていて、地元が恋しくなること、家族の心配、子供の進路、いろいろあるけれども、それは自分を見守ってくれる家族があるからこその感情なんだと。
仕事柄、いろんな人をみてきているけれども、こんな朝早く、しかも女の子一人、暗い顔して立ってたら、誰だって心配になるよ・・・、私が田舎者だからそう思うだけかな?と言って笑っていました。
無事に彼女のアパートの前についた時「きっと、あなたと会うのは、これが最初で最後だと思うね。でも、私はきっとあなたのことは忘れられないと思う。どうか自分を信じて、幸せな人生を」と言ってくれた、その言葉が忘れられません。
みなさんは、貴重な出会いや、心に残る言葉をかれられたことがありますか?
最近、身の回りに様々なことがおきたため、自分の人生の指針としたいです。