質問者のおっしゃるとおり、刑法によれば故意犯処罰が原則です(38条1項)。
そもそも故意犯が処罰される理由は、「○○してはならない」という規範があるのにあえて行為に出たという反規範的人格態度にあるとされています。
つまり、犯罪を構成する事実を認識していることが、処罰の前提となります。
しかし、それだけでは法益(法律上守られるべき利益)を保護するという刑法の目的は達成できません。そこで、事実の認識がない過失犯についても一定の場合に処罰する必要がでてきます。過失犯は「故意犯処罰の原則」からは例外となるので、別に法律の規定が必要となるのです。
では、過失犯はなぜ処罰されるのか。過失犯の処罰根拠は何なのかという問題が生じます。
この点については、過失犯の処罰根拠は、「○○すべきであったのにしなかった」という注意義務違反にあるとされています。つまり、注意義務というものが存在するのを前提として、それを認識しなかったという「行為」が過失の本質であると考えるのです。
道路交通法の規定をみていただければわかるように、ほとんどの条文が「○○してはならない」、「○○しなければならない」という注意義務がまず規定され、後ろに「○○の規定に違反した者は~に処する」と罰則規定があります。
つまり、法律によって注意義務が課されているのにもかかわらず、その注意義務を怠った、という点で、道路交通法の各規定が過失犯処罰の処罰規定にあたるのです。
お礼
早速の回答ありがとうございます。過失規定があったのですね、条文を読みきれていませんでした。わざわざありがとうございます。