まず、はじめに財政学のテキスト「公債論(公共債・国債・地方債・政府保証債)」の項目をお読みになることをお勧めします。
公債の定義:一般政府が財政資金を調達するために、債券発行の形で行う債務
○公債が経済に与える効果
1資源配分効果
ⅰ市中金融機関の引受けによる移転支出⇒移転支出としての消費拡大、資産効果
ⅱ政府(資金運用部)引受けによる政府投資⇒資金使途として社会的な収益性の高い純粋社会資本の形成に充てられるかどうかが検証課題
ⅲ中央銀行引受けによる借換⇒新規貨幣創造ができ利子率の低下による投資効果が生じるが、継続的な実施はインフレ誘発要因となる。
2政治・社会的効果
ケインズ理論赤字公債政策と現民主政治構造は密接な関連がある。政策を成功させるポイントは賢明な財政計画当局と政治家に加え優秀な官僚の存在とする。
○公債の負担
その負担が通常は後の世代に転嫁されるのが最大の問題点。
○公債管理政策:公債の構成及び残高を操作し、政策目標を達成する政策
ⅰ方法:新規発行債の種類、発行条件、発行額の決定。満期を迎えた借換債の種類、発行条件、発行額の決定。公開市場操作による公債残高の調整
ⅱ目標:公債の利子費用の最小化、総需要調整のための流動性の確保、財政政策を支援するための貨幣的手段の利用
○公債の限界:複数の要因に左右され、要因のいくつが支配的になると公債が死重的になる。
ⅰ経済的要因、所得の成長に対する公債残高の荷重、実質生産力を伴わない過剰発行の場合のインフレ、不況期の市中銀行による引受け債が加速されるクラウディング・アウトの恒常化
ⅱ社会的要因:近視眼的政策の破滅、慢性的インフレ容認の危険性
○公債の歯止めの具体的な方法
ⅰ建設公債中心の運用と利用時支払原則の適用、ⅱ市中消化の原則の堅持、ⅲ景気と利子率の動向に対応する弾力的な期間構成、ⅳ公債残高の所得弾性についての的確で合理的な予測