ある需要が1単位増えるた時、他の産業の生産額を
どのくらい増やしたかを示す係数を、一般に生産
誘発係数と言います。
最終需要の形として、大きく消費と投資に分かれます。
このうち消費は
(1)家計(民間消費支出)
(2)企業(家計外消費支出)
(3)政府(一般政府消費支出)
投資は
(4)民間(民間総固定資本形成)
(5)政府(政府総固定資本形成)
と分けることができます。
政策体系に対応するものとしては、簡単に言えば、
(1)家計向けの減税(所得税、消費税の減税)
(2)企業向けの減税(法人税の減税)
(3)政府支出の増加(軍事支出、福祉支出の増加)
(4)民間投資の促進支援(企業向け租税支出、住宅政策)
(5)政府投資の増加(道路、橋梁などの建設)
となります。
で、需要が増えた場合の生産誘発効果ですが、全国では
(5)>(4)>(3)>(2)>(1)
となります。
政府の総固定資本形成は建設業、運輸業などへの生産を
誘発する効果が高いのが特徴です。
最も、一部地域では(4)>(5)(つまり民間投資のほうが
誘発効果が高い)ということもありますが、その場合も
企業投資の効果というよりは、住宅投資の波及効果が高い
ためと言われます。
また、特に県民所得が下位の地方では
(5)>(3)>(2)>(4)>(1)というケースも存在します。
なので、産業連関表の分析から出てくる結論としては、
少なくとも減税による消費期待の倍くらいは、公共投資
のほうが意味があるということになります。
最も、いま一つ生産誘発係数に登場する最終需要形態
に「移輸出」という項目があります。
これは輸出先の需要が一単位上昇した場合の生産誘発
効果がどの程度あるのか、を示すものですが、大抵の場合
は公共投資よりも高くなります。輸出主導型の経済成長
政策・景気回復が主張されるのはこの為です。