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乳製品の高関税について
わが国は米の関税が490%と高く、米への保護政策をとっていることには理解を示すことが出来ますが、なぜ脱脂粉乳や小麦には300%もの高関税をかけているのかが 理解できません。どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら、至急教えて下さい。そのことが書いてあるサイトも一緒に教えていただければうれしいです。
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理由のうち大きなものとしては、 (1)自給率の確保、向上(食料安全保障論) (2)生産者(酪農農家)の生計維持 が挙げられます。 日本の農家は米を中心に作っていました。 戦後直後に成立した食料管理制度は、都市民が飢餓に 瀕さないための、一種の買い上げ制度でしたが、米価 が下がっていくと、農家への所得移転政策として機能 するようになります。 しかし昭和40年代くらいから財政を通じた所得移転 政策に対する批判が高まり、農業の中で高い付加価値 を有する酪農への期待が高まります。政府も畜産振興 事業団を設置し、低利融資を通じて促進を図ります。 このときの酪農の高い付加価値は、当時の為替レート (一ドル360円)が前提となっていました。しかし、 為替レートが激変してしまう(一ドル100円)と、 輸入価格が暴落し、国内の生産者の自助努力では どうにもなりようがなくなります。 さらに、途上国が酪農生産にタッチするようになると 、特に労働コストの点で著しい差が生じ、生産者の 努力を超越するレベルに達します。 ここで国際経済の効率性の論理で言えば、輸入を 通じて最終消費者の便宜を図ることがよしとされます。 しかし、それは最終消費者の便宜のために、国内の 労働者が雇用を失うことにもつながります。 農家側は政治的に政権政党の支持基盤を構成する代わ りに、政権政党を通じ、政府に対して自国農業への 支援を求めます。いわゆる「食糧安全保障論」が1980 年代に政治的に登場してくるのはこういった理由です。 こうして、農家自身の自立支援の為の酪農育成は、 米と同じように、生産者の生計維持の為の関税障壁に よって守らざるを得なくなりました。 もちろん、競争力のある農産物を作っている国は納得 しませんから、WTOなどを通じて、自由貿易をせよ と強く迫ります。また、輸出競争力の高い日本国内の 製造業にとっては、自由化は恩恵となるため、国外の 農業自由化圧力を認めるよう、政権政党側に迫ります。 政権政党はどちらからも支持を得ているため、二つの 立場の間に立つことになります。 こうした対立は日本だけでなく、EUなど先進国の 農政問題、自由化問題に共通して見られる現象です。 特に農政を通じて、過疎(中山間地)対策や、地域 雇用の維持政策を行っている国では、摩擦圧力が強く なる現象も共通したものです。 現在のところ、その一つの解決として関税割当制度 があります。これは、一定量に限り消費者への便宜の 為に低関税を認め、一定量を超えた場合は、生産者の 生計を維持するために高関税の維持を認める、という 制度です。
- 参考URL:
- http://www.maff.go.jp/wto/
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- NobyOchiai
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北海道の酪農が 如何に苦しんでいるか 知れば判るかと思いますが。
- lyosha2002
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コメ農家への保護政策をとっているのと同様、 酪農や小麦生産を行っている農家を保護するためと思われます。
補足
質問への返答、ありがとうございます。さらにお伺いしたいのですが なぜ日本は,酪農や小麦生産を保護しなければならないのでしょうか??
お礼
とても納得させられる内容ですっきりしました。ご回答ありがとうございました。