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北原白秋のこの短歌

私は、今度、北原白秋の↓の短歌を学校でやります。 ヒヤシンス 薄紫に 咲きにけり はじめて心 顫ひそめし日  この短歌は、どのような事を白秋が言いたかった(どういうときに白秋はこの短歌を思いついた)のか、分かれば、教えてください。 あと、解説もしてほしいです。

みんなの回答

  • zephyrus
  • ベストアンサー率41% (181/433)
回答No.2

この短歌に対するなんの予備知識もありません。 全くのあてずっぽうですので、そのおつもりで。 一度読み、二度読みして(出来れば音読して)、音の上から特徴的なところがありますね。 「ヒヤシンス薄紫に」のところ、ひらかなにしてカッコをつけてみます。 「ひやしん(すうすむ)らさきに」カッコの中、U音が四回連続しています。これはかなり珍しいと思います。 このU音の連続から、くぐもった感じ、ためらい、薄暗さ、胸苦しさ、そういったものが付帯されると思うのですが、 それが直後、 「うすむ(らさ)きに(さ)きにけり(は)じめて」と開口音であるA音が要所を占め、一転して開放されます。しかも、 「うすむら(さき)に(さき)にけり(はじ)めて」とA+I音が三回くりかえされるのです。 明るい開放感(A音)と、明晰・清新・初々しさ(I音)の組み合わせ。 そしてすぐに、 「こころ」と今度はO音が連続して情感がうつむき、「(ふる)いそめ(しひ)」と再びU音が顔をもたげ、I音で締め括られる。 全体に支配的なのはI音です。五七五七七のそれぞれの末尾の母音を並べると(U-I-I-O-I)となります。 また、三十一音中、濁音は「じ」のみ。この一音の濁音によって、清音でかためるより、より清い感じになるという印象です。 作者はこうしたレトリック(修辞、技巧)を狙っていたと思います。漠然とそうなったのではなく、意識しています。そうしてこの技巧は、歌われた主題と不可分に結びついていると思いませんか? 以上、参考になりますかどうか。

回答No.1

■ヒヤシンス 薄紫に 咲きにけり はじめて心 顫ひそめし日 ■ヒヤシンスの花が薄紫色に咲いたなあ。私が初めて恋に心をふるわせはじめた日に。 ■あなたにとって、恋を象徴する花は? 恋を象徴する色は? 白秋にとって、それが「薄紫色のヒヤシンス」なのは何故でしょう?(もし、あなたが、薄紫色のヒヤシンスを見たことがないのなら、何が何でも見ないといけません。そうしないと、この歌に詠まれた恋のイメージはつかめませんよ。) ■その日、本当に咲いていたのが「ひまわり」であったとしても、その花が自分の恋心にそぐわなければ、歌人は花の種類や色を変えてしまいます。 ■俵万智は『短歌をよむ』(岩波新書)の中で、そういう作歌の秘密を披露しています。  「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日 この歌は、最初は次のような五七五七七でした。  カレー味のからあげ君がおいしいと言った記念日六月七日  なぜ「カレー味」を却下し、「からあげ」を「サラダ」にし、「六月七日」を「七月六日」に変えたのか。それは結局のところ、その方が、「これ、おいしい」と言われたときの自分の心の揺れを、より強く籠められると思ったからだと、作者は言います。「こういう嘘はどんどんつくべきではないだろうか」とも。(詳しくは、岩波新書「短歌をよむ」を読んで学びましょう。) ■してみると、ヒヤシンスが(他の花でなく)「ヒヤシンス」であること、色が「薄紫色」であることは、とても重要なのです。 ■通常、初恋のイメージに合う花と言えば、「白百合」とか「野菊」とか、清楚なイメージの花であって、「ヒヤシンス」……しかも「白」でなく「薄紫」の「ヒヤシンス」……は、初々しい初恋のイメージからはほど遠いような気がします。初恋というより、大人の恋を思わせる妖しさが「ヒヤシンス」にはあるのです。事実、白秋がこの歌を詠んだのは20代後半であり、いわゆる「初恋」をするような時期ではないのです。「はじめて心 顫ひそめし日」というのは、「初恋」ではなく、別の意味で「はじめての恋」なのではないかと考えることができます。(ここで、白秋が人妻に恋をして深い仲になり訴えられた「桐の花事件」などを知っていると、この「はじめての恋」が、人妻との禁断の恋なのではないかと、勘ぐりたくなってしまいますが……。) ■ちなみに、ヒヤシンスの花言葉は、白いヒヤシンスなら「ひかえめな愛・心静かな愛」ですが、紫のヒヤシンスは「悲哀・遊び」です。 ■この歌は、20代後半の白秋が、「新しい恋」に胸ふるわせつつ、その恋を「薄紫色のヒヤシンスが咲いた」というイメージで心に刻んだ歌だということができます。 ■ただ、あなたには、白秋の経歴や実際の作歌の背景にあまりこだわらず、「薄紫色のヒヤシンス」のイメージを持った「胸を震わせるような大人の恋」というのは、どういう恋なのか、それをまっすぐに想像してほしいですね。歌は、そのようにして自分で読む込んでいくものです。頑張ってください。