他の方もコメントしてますが、日本では独裁者というのは生まれないようにできています。日本人て、独裁者が大嫌いなのです。
「今が独裁時代だ」という方もいますが、じゃあ誰が独裁者なのかって話ですね。岸田首相でしょうか。でも岸田首相は、プーチン大統領のように自分に反対する人物を消すことができるでしょうか。岸田首相の悪口をいうと逮捕されるということはあるでしょうか。
かつての安倍晋三氏が独裁者に近い感じはありましたが、彼はこれといって主体的に周囲を支配したわけではありません。自分を支持する人を大切にしただけです。だからあれだけ支持されたわけですが。だから独裁者ともまた違います。
日本史においては、独裁的に振舞う人というのはみなだいたい同じ運命をたどります。だいたい「殺される」のです。
日本史上における「圧倒的独裁者」は、なんといっても織田信長です。彼は日本史上において初めての「独裁統一国家」を完成寸前にしました。けれど、おそらく彼が最も信頼していたであろう部下に裏切られて本能寺の変を起こされて死んでしまいました。
「かかる国家の非常事態に、いちいちみんなで話しあって決めていたら適正に対処できない」と考えたのが井伊直弼です。その考えは間違っていないですし、彼は別に私利私欲のために独裁的に振舞ったわけではありません。彼なりに「ちゃんとした江戸幕府に戻そう」としただけです。けれどそんな井伊直弼はご存知のとおり、桜田門外の変で暗殺されるました。
西郷隆盛という盟友を失った大久保利通は、独裁的な権力を持つに至りました。それを大久保自身がどこまで望んでいたかは分かりませんが、大久保利通は理想とする近代国家像はかなり具体的に考えていたのではないかなと思います。そしてその姿に持っていきたかったのでしょう。けれどそんな大久保も暗殺されてしまいました。
奇しくも、戦後日本で最も独裁者に近かった安倍晋三氏も暗殺されてしまいました。これはちょっとただの偶然のような気もしますけれど。
日本人は「合議による集団体制」が好きですからね。平均的な日本人なら「社長がそういってる」より「みんながそういってる」のほうに弱いんじゃないかなと思います。