補足を拝見しました。
>追加質問なのですが、根本を押さえる、基本を理解するとは、具体的にどのようなことをすればいいのでしょうか?
⇒「社会科の学習で《根本を押さえる、基本を理解する》ためには、具体的にどのようなことをすればいいのか」ですね。それでは、例えば、歴史の例題で考えてみましょう。
よくある試験問題にこのようなものがあります。
《イギリス名誉革命の結果として政治上の変化がいくつか現れたが、次の①~④の選択肢のうち、それに「当てはまらないもの」を1つ選びなさい。
選択肢:①議会政治、②王政復古、③権利章典、④「王は君臨すれども統治せず」》
正解は②王政復古ですが、このことから、《イギリス名誉革命の結果として、議会政治、権利章典、「王は君臨すれども統治せず」という政治上の変化があった》ことを知り得た、とみなす人が多くいます。それはそれで間違ってはいませんが、まずいことは、「それだけしか学ばない」ことです。この場合、実は「名誉革命をめぐる全体的な流れをつかむ」ことが大事です。《どういう経緯で名誉革命、議会政治、権利章典などが結果したのか》を認識することが重要なのです。
歴史などの社会科目を学ぶ際は、いわば「一を聞いて十を知ろうとする」学習スタンスが必要なのに、受験勉強中の人の多くは逆に「十を聞いても一しか知ろうとしない」学習態度でやり過ごします。「やっつけ勉強」のスタイルです。この場合、実は(その出来事が)《どのような歴史の流れの中で起こって、どのような影響を与えたか》といった時代的潮流のなかの一コマとして理解することが大切です。社会科目を学ぶ際の基本姿勢です。
つまり、このような問題に接した際は、少なくとも次のようなこと(主題をめぐる大まかな流れ)を再確認するべきなのです。
《イギリスで名誉革命が起るに至った経緯はこうである。チャールズ2世が絶対王朝の復活を図ったが、議会の反対によって失脚し、フランスへ亡命した。議会はジェームズの長女メアリとその夫オランダ総督ウィリアムを招き、1689年この両名が共同で王位についた。その際議会は、議会のみが立法権をもつことを内容とする権利宣言を国王に認めさせ、これを法文化して権利章典とし、議会政治の定着を図った。これがいわゆる「名誉革命」のあらましで、革命なのに混乱も流血もなかったので「名誉」なる語がつけられた。
名誉革命の結果を簡潔に述べると、政治面では、責任内閣制度が成立し、「王は君臨すれども統治せず」という伝統が生まれた。経済面では、農業の資本主義的大経営がひろがり、自由放任や保護主義の対策がとられて、産業革命へ向かう条件が整えられていった。》
王政が議会制へと変わってゆく節目に名誉革命が起って、立憲政治の基礎が築かれたわけですが、これに似たこととして、日本では、武家政治が朝廷政治に取って代った鎌倉幕府の成立を彷彿させます。いずれも、《歴史的転換という大きな流れの中の一コマで、その出現はいわば時代の要請だった》とも言えるでしょう。このように、時流という必然的因果関係を知ることは、社会科目(特に歴史)を学ぶ際の根本原理であり、その姿勢で学べば、どのような形で問われても答えることができるような応用力が身につきます。
要約:一つの社会的事象を学ぶときは、《それを社会潮流の中の出来事としてとらえること、そして、その出来事の因果関係を把握すること》が基本原則です。お尋ねの「根本を押さえる、基本を理解する」とは、以上のような意味とお考えください。
「総まとめ問題集」といえども、ただ答えて正解を確認するという通り一遍の学習では、「4割ほどしか取れない」のも当然かも知れません。「全単元を一からゆっくり復習する」のも悪くないと思いますが、もっと強く意識して取り組むべきは、「科目の特性に合わせた学習方法を検討し修正すること」ではないかと思います。
お礼
回答ありがとうございます。とてもわかりやすかったです。今のアドバイスを意識して、自分にあった勉強法を確立できるよう頑張ります。