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活性化エネルギーを求めたい
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アレニウス式中のexp(-Ea/RT)は0から1の値になることは、以前説明しました。 Tが40℃の時にその値が0.3になったとします。 ある過程に関与する分子(原子)の内30%がEaよりも大きなエネルギーを持ち、残り70%はEaに満たないエネルギーだということを示しています。 温度が上昇した時も活性化エネルギーEaは変化しないとして、exp(-Ea/RT)の値が0.6になったとすると、Ea以上の分子の割合が60%となります。 Eaはエネルギー障壁なので、温度上昇によってEa以上の分子の割合が30%から60%へと2倍になるわけですから、今仮定したある過程において40℃の時に比べ、温度上昇した時に2倍の速度で進むという事になります。 この時傾きは負になります。 Eaよりも大きなエネルギーを持つ分子の割合が重要だからです。 一方、粘度におけるアンドレードの式(アイリングの式も同様)では、活性化エネルギー以上の分子は流動し、活性化エネルギーに満たない分子が流動しない(流動を阻害する)ので、粘度は活性化エネルギーに満たない分子の割合が多くなるほど粘度は高くなります。 それ故、グラフの傾きは正になります。 通常、1つの現象が進行する場合、色々な複数の過程を経て進みます。 その中で最も進む速度が遅い過程が律速段階です。 温度変化させて抵抗値が変化するときに抵抗値が有限の値を示すということは何かの過程(電子が分子に衝突し分子周辺の電場に引きずられるなど)が速度論的に進んでいるとします。(その詳細は分かりません。) 現象の速度v その時の速度定数k 濃度因子Aとします。 温度T1 の時の速度式を v=kA^x x=反応次数 であるとして 温度がT2に上昇したときT1からT2の範囲では律速段階が変化せず T2でも同じ速度式 v=kA^x に従うとします。 ここで両者の比をとると v1/v2=k1A^x/k2A^x=k1/k2 となりますから、比の形にすれば反応速度定数kの代わりに実際の速度vを使うことに合理性があると思います。 一方、アレニウス式 k=Aexp(-Ea/RT)でも比を取ると k1/k2=A1exp(-Ea/RT1)÷A2exp(-Ea/RT2) ここで頻度因子Aは温度変化技小さくA1=A2とします。 両辺を自然対数にすると ln(k1\k2)=(-Ea/RT1)-(-Ea/RT2) =(Ea/RT2)-(Ea/RT1) =Ea/R(1/T2-1/T1) となります。 実験値をアレニウスプロットして直線性を確認し、アレニウス速が成立してれば、上記式からEaが求まります。 させ、質問者さんのデーターでは温度上昇に従い、抵抗値が下がっているのですね。温度上昇に従い特性指標の数値が下がる場合、アレニウスプロットを作成すると傾きは正になります。 >温度が低くなるほど、抵抗器の示す抵抗が大きくなることはあり得るのでしょうか? それは、アレニウス則というよりも、実際に質問者さんが測定したデーターがそのような値を示しているのですから仕方がありません。 一般に金属の抵抗は温度上昇に従い上昇しますが、今回は金属の抵抗とは違うメカニズムの抵抗機構になっていることが伺われます。 また、半導体の場合、温度上昇によって指数関数的に抵抗が減少するそうですから、質問者さんが使った抵抗は金属的ではなく、半導体の性質を持っており、温度上昇によって数値が指数関数的に減少するので、アレニウスプロットの直線性が得られ、傾きが正になるということではありませんか? どうしてもプロットの傾きが負でなければ気が済まないのであれば、抵抗値をプロットするのではなく、電圧一定の時にその抵抗で流れる電流値をプロットすれば、温度上昇に従い数値は大きくなるので傾きは負になります。 傾きが正になる特性ではアンドレードの式のように k=Aexp (Ea/RT) とEaの符号を正にするだけです。 求められる活性化エネルギーは正の値になります。 今回の実験から、質問者さんの抵抗における作用発現機構が金属的なものではない事が推定できます。 活性化エネルギーの値が大きく変わった時もメカニズムに関する重要な指標となりますが、単純に数値だけからメカニズムを特定することは難しいと思います。
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- psa291
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>1/Tの値が大きくなればなるほど、抵抗値のlnが大きくなっていました。 質問者さんは、質問時に添付した表のデーターを使っているのですよね。 0℃=273K の時 抵抗値 0.504 1/T=0.003663 ln抵抗値=ln0.504=-0.685 10℃=283K 抵抗値 0.534 1/T=0.003534 ln抵抗値=ln0.534=-0.627 40℃=313K 抵抗値 0.607 1/T=0.003195 ln抵抗値=ln0.607=-0.499 1/Tが0.003663→0.003195と小さくなると ln抵抗値は-0.685→-0.499と大きくなっていますよ。 逆に1/Tが大きくなるとln抵抗値は小さくなるので、傾きは負ですよね。 アレニウスプロットは、化学反応だけでなく種々、色々な現象に応用ができますから、粘度の温度依存性のようにプロットの傾きが正になるものもあります。 つまり、温度が高いほど起きにくい。 粘度は、流動への抵抗なので、温度が高いほど流動への抵抗が小さくなる。 つまり流れやすくなる。 温度の上昇によって増加する(例えば反応速度)は、傾きが負になります。 式中のEaが負になるか正になるかで対応します。 温度上昇によって増加する現象ならば、式中のEaの前にマイナス符号をつける。=通常のアレニウス式 粘度のように温度上昇により低下する現象ならば、式中のEaの前にマイナスをつけず正にする。=アンドレードの式 活性化エネルギーそのものが負になることはありません。 求められる活性化エネルギーは常に正の値です。
補足
何度も回答頂きありがとうございます。 私の添付した写真のせいで解答者さんに誤解を招いてしまったみたいなので、補足させて頂きます。 0℃で0.504、10℃で0.534…(Ω)となっているのは、「抵抗器」ではなく「コイル」で抵抗器と同条件の下測定した値です。 今回私が求めたいのは、あくまで「抵抗器」の活性化エネルギーなので、抵抗器の温度変化による抵抗値と電圧の値だけを記録したものを抜き出すと 0℃ 21.7kΩ -1.047mV 10℃ 13.0kΩ -0.610mV 20℃ 8.25kΩ 0.197mV 30℃ 5.50kΩ 0.229mV 40℃ 4.01kΩ 0.655mV 50℃ 2.85kΩ 1.090mV 60℃ 2.12kΩ 1.524mV 70℃ 1405Ω 1.965mV 80℃ 1108Ω 2.362mV 70℃ 1480Ω 1.854mV 60℃ 2.16kΩ 1.461mV 50℃ 3.08kΩ 1.009mV 40℃ 4.38kΩ 0.533mV 30℃ 5.88kΩ 0.132mV 20℃ 7.50kΩ -0.219mV 10℃ 10.5kΩ -0.661mV 0℃ 15.4kΩ -1.005mV となりました。 この場合、1/Tが大きくなる(Tが小さくなる)と、R(抵抗器が示した抵抗値)の値は大きくなっていますよね?これだと、lnRの値もそれに従って大きくなり、回答者さんの提案通りにグラフを書くとその傾きが正になってしまうんです。 自分が今まで学んできたアレニウスプロットは、全てグラフにした時の傾きがマイナスとなるようなデータでした。 今回それが通用しない状況で、疑問に思ったため質問させて頂いております。 何度も何度も恐縮ですが、ご解答頂けると幸いです。
- psa291
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横軸を1/Tとし、温度が高くなる、つまり1/Tが小さくなるほど、ln抵抗値が大きくなる。(横軸が小さくなるほど、縦軸が大きくなる。) この場合、傾きは負になるのではありませんか? でも、傾きが正の場合(温度上昇(1/Tの低下)により特性値が低下する場合)どう考えらばいいのか? アレニウスの式は、化学反応だけに限ったものではありません。 例えば、粘度の温度依存性でもアレニウスの法則が適応されます。 (粘度の場合は、アンドレードの式と言われます。) 粘度の場合は反応速度とは逆に、今回の事例と同じく温度上昇により粘度が低下するので アンドレードの式では η=Aexp(Ea/RT)で化学反応の場合と異なり Ea項にマイナスは付かず、正になっています。 活性化エネルギーがマイナスにはなりませんので、アンドレードの式のようにEaをプラスとして取り扱えばいいと思います。 ある現象に温度依存性があり、その現象が一定の活性化エネルギーに支配されているのならば、アレニウスの式を用いる事によって活性化エネルギーを求めることができます。 物質を構成している分子や原子は熱運動をしています。 40℃の物質において、すべての分子(原子)が同じ熱運動をしているのではなく、激しく運動しているものからゆっくり運動しているものまでばらつきがあります。 このばらつきは、なぜかボルツマン分布をしているのです。 そして、横軸に熱運動をしている分子のエネルギーをとって分布をプロットすると、温度が40℃、50℃・・と上昇していくほど、ピーク値が高エネルギー側にシフトしていきます。 今このボルツマン分布の面積が1になるように規格化します。 アレニウスの式に出てくるRTは、温度に気体定数を掛けているので、これはエネルギーを示しています。 アレニウス式で(-Ea/RT)とは活性化エネルギーとその温度のエネルギーと の比で、exp(-Ea/RT)は、0から1の間の値となりますが、横軸にエネルギーを取った時に温度TにおいてEaよりも大きなエネルギーを持っている分子(原子)の割合を示しています。 exp(-Ea/RT)は0から1までの数値となりますが、もしEa=0ならばこの値は1となります。つまりすべての分子が反応(作用)するだけのエネルギーを持っている。Eaが∞ならば、この値は0となります。 反応や作用するに足りるエネルーを持っている分子の割合は0ということです。 ある値の活性化エネルギー以上で・・という現象ならば、化学反応に限定されるわけではありません。 粘度の場合、ある一定エネルギー以下のものが、流動を阻害するということです。 exp(-Ea/RT)は0から1の間の数値になりますが、1からその値を引いたのがexp(Ea/RT)なので、グラフの傾きが正になるか?負になるかは活性化エネルギー以上の分子の割合が作用するのか?活性化エネルギーに達していない分子が作用するのか?の違いにすぎません。 kは反応速度にとらわれることなく、どんな特性でも大丈夫です。 アレニウス則が成立する現象は非常に多くあります。 もちろん成立しない現象もありますので、実験で確認しなければなりません。
補足
何度も回答頂きありがとうございます。 あれからExcelで作ったグラフを確認したところ、1/Tの値が大きくなればなるほど、抵抗値のlnが大きくなっていました。(つまり、温度が低くなるほど、lnRが大きくなっていたという事です) 自分としては、アレニウスプロットを作った際に、傾きがマイナスになるようなグラフが生成されると思っていました。何度も説明していただいているのにも関わらず恐縮ですが、どうしても違和感がぬぐえません。 温度が低くなるほど、抵抗器の示す抵抗が大きくなることはあり得るのでしょうか? もう少し、質問にお付き合いいただければ幸いです。
- psa291
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アレニウスの式は k=Aexp(-Ea/RT)です。 化学反応の場合、一般にkは反応速度定数ということになりますが、別に速度定数である必要はありません。 何か温度依存性がある現象で、温度由来の分子(原子)運動がボルツマン分布に支配されていれば成立する可能性があります。 k=Aexp(-Ea/RT)を対数にすると lnk=lnA-Ea/RTとなります。 質問者さんは添付のデーターのどの特性の温度依存性に関する活性化エネルギーを知りたいのですか? 抵抗値の温度依存性に関する活性化エネルギーならば、縦軸にln抵抗値を横軸に1/Tをとってグラフ化し、直線性が認められれば抵抗値の温度依存性にあれに薄速が成立していることがわかります。 ln電圧を縦軸にとれば電圧の温度変化に関する情報が得られます。 もし、直線性が認められれば、その傾きから活性化エネルギーがもとまります。 気体定数の選び方によってEaの単位が異なりますが、通常はJで求まりますから、ジュールをエレクトロンボルトに換算すればよいと思いますよ。
補足
解答ありがとうございます。いくつか質問させてください。 まず、アレニウスの式を用いるという点についてですが、この場合は化学反応における反応速度定数(つまりkですね)が、この問題においては抵抗値をkとみなしてよい、という認識でよろしいのでしょうか? また、解答者さんが言われていた通りに縦軸にそれぞれの温度に対応する抵抗値の値のlnを、横軸に絶対温度の逆数を取ってグラフを作成したところ、確かに直線性は見られましたが、傾きが正のグラフとなりました。(温度が高くなればなるほど抵抗値のlnは上がった) この場合、傾きからEaの値を求めることはできますが、解答者さんが示してくださっている通り数式上の傾きは -Ea/RTですので、求める値はEa<0となってしまいます。 活性化エネルギーがマイナスとなる事はあり得るのでしょうか? 大変恐縮ですが、追加でお答えいただけると幸いです。
お礼
長らくご回答いただきありがとうございました。アレニウスの式の方を変えればよい(Eaの符号を正にしても良い)ということが知れてやっとスッキリしました。本当に助かりました。