比喩ではなく文字通りの「分裂」「消滅」なら、「可能性は低いがゼロではない」のが小惑星(隕石)の衝突です。
例えば約6600万年前に、今のメキシコのユカタン半島で起きた恐竜の絶滅につながる生物への大災厄をもたらしたとされる衝突では、直径約160キロのチクシュルーブ・クレーターが生じました。また約20億年前の別の衝突ではこれを上回る大きさのクレーターができたと見られています。(世界自然遺産に登録されている南アフリカのフレデフォート・ドーム)
万万が一、このような衝突が起きれば、日本列島がクレーターによって分断されるおそれがあります。ただしこれは「人類の運命」に関わる史上最大の危機であり、「日本列島の分裂」どころの話ではなくなってしまうでしょうけれど。
余談ですが、約200万年前に起きた大きな地殻変動で九州が南北に分断されました。そのままでは北島と南島に分かれてしまっていたところ、その後多数の火山が噴火し(阿蘇山など)大量の火山灰や溶岩によって海が埋められ隆起して九州は再び一つにつながったと見られています。文字を発明して以降の人間の短い歴史を離れれば、「分裂」など日本列島の大変化が過去に起きています。
「日本」という国の名前(国号)が使われる以前(例えば古墳時代)も「日本史」に含まれるように、仮に将来「日本」という国の名前を変更するようなことがあっても、それだけでは「日本の消滅」とは言えないでしょう。国家の三要素とされる「国民・主権・領域」が永続的に奪われて初めて「日本の消滅」と言えると考えますが、政治的プロパガンダはともかく、この具体的なシナリオの想定は隕石の衝突以上に極めて困難です。
例えば1945年の敗戦から1956年に調印され翌年発効したサンフランシスコ平和条約まで、日本は連合国の占領下にあり主権が制限されていましたが「日本が消滅していた」と考える人はまずいないのではないでしょうか。