何を持って日本が勝利するのか判然としないうえに、米国との早期講和が太平洋の戦争の目的と化していたところもあります。また、太平洋の戦争だけにすると対英米戦争だけになってしまいますが、当然中華民国とも戦争していたわけで、これに南太平洋や東南アジアでの戦いも含め大東亜戦争と言うわけです(日本で法的に名称が定義されていたのは太平洋戦争ではなく大東亜戦争です。また、太平洋戦争は歴史的には南米で19世紀中盤に勃発した海洋戦争のことを言います)。
そこで勝利条件を強引に
(1)南方資源地帯の安定的確保
(2)満州権益の安定化
(3)米ソとの不可侵、ないし安定化した緊張
としましょう(どれも無理ですが)。
(1)について、これは一時的に安定化したとしても、この地帯を守るため、そしてシーレーンを守備するための莫大な国家資源の投入が必要となってくるでしょう。となると英国海軍のような組織が必要となってくるでしょうが、ただでさえ海上護衛戦に無頓着だった日本が整備する間に国が破産すると思われます。周辺国を傀儡政権状態で独立させ、守備を委託するとしても打撃力は日本が保持するため、結局破産は免れないでしょう。
(2)について、中国とは確実に100年戦争状態になると思います。朝鮮半島は北方地域との緩衝地帯として保持するとして、特に資源も何もない満州、朝鮮を保持しつづけることによる損失は大きくなるでしょう。史実として、朝鮮半島維持のため、現在の金額で400兆円ほど費やしたとの説もあります(植民地経営ではなく、内鮮一体を目指した事実上の日本化であったためと、併合以前の大韓帝国当時民衆の搾取と支配者の腐敗があまりにも酷かった為インフラの整備、特に教育機関設置と衛生の確保、法治体制の整備に苦慮したそうです)。結局、日本滅亡の遠因になることには間違いなさそうです。
(3)については・・・。陸軍内部ではかなり期待していた勢力もあったようですが、どう考えても綱渡りの連続になることは間違いないでしょう。冷戦は核兵器の存在に担保されていたわけですから、外交だけで乗り切ることは不可能に近いと思われます。
総合して、日本は一時的な勝利を収めることはできたとしても、勝利の結果が日本国滅亡の原因になることは間違いなさそうです。国内がどうなるかという問題がありますが、これは条件付けによっていくらでもかわっていくので触れません。
根本的に、つまり明治維新くらいから歴史改変していかないと大東亜戦争での勝利自体難しい・・・いや、そもそも戦争が起きていないかもしれません。
お礼
大東亜戦争ですね。勉強になりました。 いずれにしても日本が滅亡することは避けられないみたいですね。具体的に書いてくださって分かりやすかったです。とても参考になりました。ありがとうございました。