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ASD診断における知能検査の必要性について
ASDを診断するときに、生育歴の聞き取りなどの他、ほとんどの場合において、診断の前に知能検査をすると思いますが、これはなぜでしょうか? 知能検査はASDの診断基準にはなく、また知能検査の結果、ディスクレパンシーや凹凸が無くても、診断基準には当てはまればASDの診断が下されるのなら、診断の前に知能検査をやる意味はほとんどないのではないでしょうか?(ASDと診断した人に対して、その特性を本人に理解してもらうために知能検査を実施するというのならわかるのですが。)それとも、学習障害の有無などを調べるためなのでしょうか? お詳しい方、ご教授のほどよろしくお願いいたします。
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質問者が選んだベストアンサー
臨床心理士です。 質問者のおっしゃるように、ASDはもちろん、ADHDでも、その診断の際に知能検査の結果は、必須ではありません。 この点について、世間では誤解されていますし、医師の中にも、「知能検査の結果から見てもASDだ」とおっしゃる先生もあるようです。 ASDやADHDによく見られる知能検査の結果のパターンというのも知られていますが、これはあくまでも多数のASDの方に実施された知能検査結果(WISC-IVなどWechsler検査では、指標得点)の平均値です。 平均値ですから、実際には、それとは異なるパターンになる方もたくさんいらっしゃいます。 この意味からも、個々の方の知能検査の結果からASDなど発達障害の有無を診断したり、どれに該当するかを判断したりすることはできません。 ASD、ADHDの方では、発達的なアンバランスだけでなく、認知的なアンバランスがあることも多く、それによって、生活、仕事、学業などさまざまな面で苦戦していることもよくあります。 知能検査は、この認知的なアンバランスを捉え、苦戦の要因を明らかにし、それに対する支援や工夫の根拠を得るために実施するというのが、心理士の立場からの考え方です。 ASDなど発達障害の診断を受ける際に知能検査も実施する意義は、このようにご理解ください。 もし、ご自身あるいはお子さんなど身近な方が発達障害の可能性が有、専門医の診察を受け、その際に知能検査も受けるということでしたら、その方が普段困っていらっしゃること、苦戦していらっしゃることと、知能検査の結果明らかになる認知的なアンバランスとの関連性についてお尋ねになり、どのような支援や工夫をするとよいかをご相談ください。 ご相談は、検査を実施した心理士の方に直接お話しを伺うことをお勧めします。 専門医といえども、知能検査結果の詳しい解釈に通暁しているとは限りませんので。
お礼
ご回答ありがとうございます。やはり知能検査は必須ではないのですね。また、知能検査の目的・意義についても詳しく教えて頂き大変ありがとうございました。とても勉強になりました!