まぁ市場のニュースとしては上場以来初めてのマイナス価格ですからね。
ただ、実際の状況は単なるマイナス価格と言うだけはありません。
当然、ご存じだとは思いますから釈迦に説法でしょうけど、知らずにご覧になる方もいると思いますので、少し解説です。
原油の先物と一言でニュースでは報じられていますが、マイナス価格を付けたのはWTI原油先物5月限です。
ポイントは、WTI原油・先物5月限の2つ
WTI=ウェスト・テキサス・インターミディエイトと言う原油で、昔懐かしい井戸堀の油田から僅か(アメリカ国内で産出される原油の6%・世界で産出される原油の1~2%)に産出される原油の取引です。
世界で産出される原油の1~2%の原油の先物価格が、世界全体の原油価格の動向を決めていると言っても過言では無いのです。
先物5月限
先物取引とは「未来のある日」の取引価格を「今」取り決める取引で、この日は5月受け渡し分の取引の最終日でした。
先物取引とは言いますが、限月切り最終取引が終わると買っている投資家や需要家は取引成立した価格で現物を引き取らなくてはなりません。これを現引きなどと言います。取引しているのは原油ですから、当然、受け渡し場所で原油を入れるタンクや、タンカーやタンクローリーを持って行って原油を受け取らなくてはなりません。
※個人では到底受け取れないのです。
しかし、WTI原油の受け渡し場所にある貯蔵タンクは需要の落ち込みでどこも満タン状態で、港もタンカーが原油を満載して停泊中なので、受け取るのが厳しい状況なのです。
そこでこれ以上在庫を抱えきれない人たちが投げ売りに出た結果、マイナス価格になったと言う事です。
タンクに原油を貯蔵しておくだけでも維持費が掛かりますし、港にタンカーを停泊させておけば港湾使用料や停泊料なんかも発生します。
そして、限月が近い取引は含み損が出たときに取り返しが付かなくなるので、殆ど取引されません。(板が薄い状態)そんな取引が薄いところで、我慢できなくなった人たちが投げ売りに出たことで、マイナス価格を付けたのです。
オイルマネーと言いますが、意味合いが違います。
一般に言うオイルマネーとは比較的政情が安定している産油国の潤沢な資金です。サウジアラビアなど。
ご質問者様が仰るオイルマネーは、原油市場に入っていた投資資金の事でしょうけど、別にWTI原油の他の限月は普通に取引されていますし、商品先物市場では金も代表的な商品です。投資マネーは値動きがある市場ならどこにでも行きますよ。
原油先物で買いが入って来るとすれば、OPEC加盟国などが更なる減産合意をするしか無いでしょうね。
暫くは、経済活動の低下によってエネルギー需要も下落しているので、原油価格の回復は緩やかでしょう。
お礼
そうですね。確かに先日も金の現金化があり金相場が一気に下がりましたね。 今は現金化して大人しくしているのがいいのかもしれませんね。 ありがとうございました。