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首相制・大統領制以外の政治形体について
特に社会主義国を中心に疑問に感じる事が多いです。 北朝鮮の「書記」やキューバの「議長」って何?。 国の頭が「書記」「議長」って・・・?。
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問題点を整理します。 第一に社会主義国のトップの肩書の意味。 第二に首相制・大統領制の問題。 先ず、社会主義国のトップの肩書ですが、例示されている「書記」や「議長」は党のポストであって、国家機関のポストではありません。小泉首相は自民党の総裁でもありますが、この「総裁」という肩書は自民党という私的な政治結社のトップを意味するだけです。 社会主義国の支配政党は共産党(労働党という名称を使用している国もある)です。共産党内部の主要な組織としては「政治局」と「書記局」が設けられている場合が多く、書記長・総書記などは書記局のトップ、議長は政治局中央委員会のトップを意味する場合がほとんどです(ただし、キューバの場合、カストロが共産党第一書記と国家機関である国家評議会議長を兼務しているので、この場合の「議長」は国家機関の長を意味しています)。 政党のトップに過ぎない書記長や議長が国家のトップのごとき扱いを受ける理由は2つあります。 第一の理由は、社会主義諸国では、憲法で共産党を国家の指導政党と定めているため、本来私的な政治結社に過ぎないはずの共産党が公の権威(+実質的権力)を持っているからです。これに付随して、共産党の指導者が国家機関のトップを兼ねている場合もあります(代表例は旧ソ連のスターリン首相(書記長)、ゴルバチョフ最高会議幹部会議長(書記長)です)。 第二の理由は、上記のような事情により、社会主義国の権力構造は、国家機関(議会と政府)と共産党の2重構造になっており、共産党が下した政治的決定を国家機関が追認・執行しているのが実態でしょう。このため、対外的に国家を代表するのはあくまでも国家機関ですが、実質的な権力(実力)は共産党が握っているからです。 次に、首相制・大統領制の問題です。 大統領は、共和制国家の元首です。共和制とは君主を置かない政治体制のことであり、必ずしも民主制ではありません。大統領は、実質的には君主に等しい権限を持っているのが普通です(わが国には君主(天皇)がいるので、大統領を設けることはできません)。 首相は行政府の長であり、元首より格下の地位です。元首である国王又は大統領(社会主義国の場合は最高会議議長など)のもとで、行政府を率いるのが首相です。フランスやドイツのように、大統領とともに首相も設けられている国があるのはこのためです。 キューバの国家元首は国家評議会議長、行政府の長は閣僚評議会議長(首相)であり、現在はカストロ(共産党第一書記)が兼務しています。しかし、別の人物が就任しても問題はないわけで、元首の下に首相があるという組織構造は社会主義国の場合も同様です。