1.反グローバル主義や反移民、自国第一主義を唱える政治家達や政治勢力の台頭を招いたのは、グローバル化やグローバル経済の弊害や矛盾を解決しようとしなかった、既存の政治家達や官僚達、そして利益至上主義にひた走る資本家などが招いた厄災でしょうか?
そうとも言えると思います。ただ、本当の問題は東西冷戦が終わって民主主義と自由経済が世界の標準として正しい事が証明されたと思っていたら、そうでも無い事を示す事例(最大の事例は中国でしょう)がたくさん出て来て放置できなくなったことや、金融資本主義が行き過ぎて政治でコントロールできないくらい格差が広がってしまったことが問題で、一国の政治だけでは対応が難しくなったことが大きな要因としてあると思います。プラスして、地球資源や環境問題でのCO2排出の割り当て、食料問題など、地球規模の資源や権利を人類で平等に別けるのが難しい事が明確になって来て、解決の努力をする前に自国で確保する動きが出て来たこと。ボリス・ジョンソンは英国民には人気があると言うものの、国民が選んだわけでは無いですが、トランプが犯罪を疑われようがどんなにひどい政策や発言を行おうが岩盤の支持層がいたり、EUでの極右政党の台頭するなどの現象は、将来に対する政策の期待と言うよりは格差が進んで中流から貧困層に脱落しそうな人たちによる現破壊に対する期待だと思います。そもそも自国第一主義の利己的な政治家たちが国をまたいで手を組むと言うのも変な話ですが、自由経済、民主主義、人道、平和、国際協調と言うこれまでの規範を推し進める勢力に対抗すると言う意味では協調できるのでしょう。
GAFAなどの巨大企業は多国籍化が進んでいて、投資、人材、調達、マーケットで国に対してこだわりを持ちません。GAFAには様々な人種の人が高級幹部になっているし、優秀なエンジニアがいれば人種や国籍に無関係に大量に採用し、世界規模でサービスを行って法人税の安い国に売り上げ利益を寄せる構造にします。だからトランプのアメリカ第一主義に取っては重要なアメリカの武器でありながら政策上は敵でもあります。GAFAを中心とする巨大企業や先端技術を持った会社は、アメリカに投資を集めるのには貢献するのですが、貿易赤字や財政赤字の解消にはそれほど貢献していないと言う歪んだ状況にあるのですが、トランプはあまり有効な政策を取れておらず、貿易相手国を脅して関税をあげることで対応しようとしています。
2.ドナルド・トランプやボリス・ジョンソンのような反移民、反グローバル主義、自国第一主義を唱える政治家達の出現は、自分達のビジネスに支障をきたすようになるため、頭を抱えているのでしょうか?
イギリスに関して言うと、昨年No Deal Brexitが現実的にありそうな事がわかった時点で多国籍企業はイギリスの本社をヨーロッパ大陸に移転させ始めています。国際ビジネスと言う意味ではロンドンはすでに相当冷え込んでいるそうです。アメリカの企業はと言うと、ビジネス形態によってまちまちと思いますが、対中貿易関税に関してはこれまでのところ中国企業が輸出価格を下げて対応している事が多いそうで、今後は中国企業の生産を東南アジアに移す動きが加速するでしょうから、インパクトは一時的と思います。対NAFTAに関しては一時的にアメリカに部品生産が戻って来たのですがコスト高で部品メーカーが成り立たなくなり倒産と言うことも相次いだらしく、いわゆるラストベルトはトランプ効果の恩恵を受けられずに、トランプ不支持が増えているそうです。アメリカ西海岸のIT企業は、移民規制で影響は受けているのですが、トランプの大統領令、Buy American Hire Americanによる影響はコストの安い外国人労働者のビザが影響を受け、アメリカ人並みの高い給料で雇う世界のトップエンジニアの雇用には影響を与えないため、GAFAなどはあまり影響を受けず、中小のIT企業が割りを食っていると思います。