かつて大関を張っていた照ノ富士は、膝のケガと不調により、現在はなんと幕下に陥落しています。今場所は全休しており、来場所は序二段に落ちるだろうといわれています。
力士が十両から陥落すると、個人部屋がなくなり付き人もいなくなります。それどころか、十両以上の力士の付き人にならなければいけません。食事の用意や下働きもやらされます。食べる順番も、かつては部屋の筆頭でしたから一番最初に食べられましたが、今は番付が上の人たちが食べ終わってからようやく手を付けられるのです。厳しい世界ですね。
しかし横綱はいくら休んでもこの降格はありません。その代わり、横綱に相応しい成績を残せないなら引退するしかないのです。
大相撲では、勝ち越せば番付は上がり、負け越せば降格となります。とすれば一応ノルマとしては8勝になりますが、横綱で8勝7敗は許されません。
昔から、9勝6敗の横綱は「クンロク横綱」と呼ばれて「クンロクしか勝てないなら、もうやめろ」といわれていたのです。だから横綱のノルマは10勝です。実際は優勝争いがノルマなんですけどね。13勝でまあまあ、12勝だともうちょっと頑張って欲しかったねえ、11勝ならちょっと情けないねえといわれます。本来、横綱は横綱と大関にしか負けてはいけないのです。三役筆頭の関脇にも勝って当然といわれるのが横綱です。
稀勢の里関へのハードルは、前例がないほどに下がっていますから8勝すれば横審がオーケーといいそうで怖いのですが、世間としては10勝はしないと許されないよねです。
しかし今の状態を見る限り、1勝するのも厳しいのではないかというレベルです。明日の取組で負けて0勝3敗なら引退を表明すべきだろう、いやもう既に引退を表明するのに遅きに失しているとほとんどの相撲ファンが思っていると思いますよ。今の時点で恥も外聞もないのもいいところですが、本来横綱というのは名誉を重んじなければならない立場です。
恥も外聞もなくで認められているのは、照ノ富士だけです。本来は照ノ富士も前例から考えると引退しなければならないのですが、本人が本当に泥にまみれてもやるというのでみんな黙認しているのです。つらい立場も受け入れているのですからね。
多くの相撲ファンが一番恐れているのは「まさかまだ引退しないで休場するんじゃないだろうな?」です。