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SKD11の焼入れについて
- SKD11は1030℃で焼き入れされます。
- 焼き入れ後、空冷する場合と300℃でマルクエンチする場合があります。
- これらの方法によって材料の性質や硬度に違いが生じます。
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マルクエンチ方法は調べればすぐ判るので割愛します。 1.空冷とマルクエンチの使い分け。 マルクエンチの目的は熱処理歪みを小さくすることですから、通常焼入つまり空冷では焼割れを起こしたり、熱処理歪が大きくなってしまうような寸法形状品に向いています。マルクエンチするには、それなりの設備と技術が必要ですから、全てをマルクエンチする必要はありません。 2.マルクエンチで熱処理歪が小さくなる理由。 焼入工程で発生する熱処理歪の原因は、処理物の中に温度分布があるからです。温度分布があると熱応力が発生するし、マルテンサイト変態の時期にずれによる変態応力も発生します。これらの応力がその温度での処理物の耐力を越えていれば、塑性変形が発生し、冷却後には熱処理歪として残ります。 マルクエンチでは、一旦処理物全体を300℃均一にすることにより温度分布が小さくなり、マルテンサイト変態はその後の空冷過程でを起こるため変態応力も小さくなります。 3.空冷焼入材とマルクエンチ材の品質の違い。 当然両者とも焼戻が必要です。通常、焼戻後の品質は、内部に抱える残留応力を除けば差はありません。ただ300℃加熱時間が長すぎると、オーステナイト組織が変化して品質も変化する可能性はあります。
マルクエンチの目的は、熱処理の際の歪みを小さくすることにあるとのこと です、 歪みが大きいと、焼割れの可能性が高くなることと、焼入れ後の寸法精度が 悪化するということが主な課題。 空冷、マルクエンチいずれの場合でも、適切な焼き戻しが必要であることは 共通なようです。 http://www.daiichis.com/heattreatment/harden.html この文献の、熱処理過程での変形(2)マルテンサイト変態時の変形 あたりを参照して下さい。 マルクエンチでは、マルテンサイトへの変態が低下して、残留オーステナイ トが増える傾向があるとのことですので、焼入れ(クエンチ)の際の変形 が小さくても、その後の経時変形の課題を内在しているということに なりそうです。 空冷の場合以上に、焼戻しの方法に留意したり、サブゼロ処理などを行うな ど考慮する必要があるりそうです。