◆分析
あばら・なる─板敷─に
月の かたぶく─まで ふせ…り…て
こぞを──思ひ…いで…て 詠め…る(は)
「月やあらぬ春や昔の春ならぬ我身一つは元の身にして」(なり)。
◆解訳
あばらな─板敷─で
月の(が) かたむく─まで 臥して…い…て
去年のことを──思い…出し…て よん…だ(のが)
「月やあらぬ春や昔の春ならぬ我身一つは元の身にして」(という歌である)。
◎「ふせりて」の「り」、完了━存続の助動詞の「り」の連用形で、「(横になっ)てい(て)」の意。「ふせり」を四段活用動詞「臥せる」の連用形と見ることもできますが、ここでは大勢に従います。
◎「詠める」の「る」、同じく助動詞の「り」の連体形、準体用法で、それまでの文全体を体言化(名詞句相当に)します。
◇「あばらなる」の「あばら」を名詞と見れば、「なる」は断定の助動詞「なり」の連体形ということになりますが、大勢に従い、形容動詞「あばらなり」の連体形活用語尾としておきます。