訴えない理由はいくつか考えられます
1.訴え出る訴訟費用に比べて不足、あるいは実入りが少ない
2.かなりの労力が必要(弁護士を入れるとその雇用費用もかかる)
3.会社や中小企業の社長を訴える=会社に居難くなる(退職を余儀なくされる)
現状では「目先の20万より、毎月の15万」のほうがいいと考える人の方が多いのかもしれません。
例えば、少額訴訟で10万円を取ろうとすると、印紙代1,000円、郵券代(裁判所に渡す)4,000円が少なくとも必要で、このほかに法人相手なら法人登記(500円ぐらい)や資料をそろえる代金(コピーや印刷代など)なども必要です。判決が出てからお金を向こうが払わないなら強制執行になりますが、この強制執行の代金も必要になります。
個人(原告)対法人(被告)で弁護士などを入れないなら1万円ぐらいは必要になります。
労働審判や裁判となれば弁護士を雇うことになります。勝てるにせよ「最初の依頼料や裁判に訴え出る費用」はこちらがまず負担します。(勝訴すればその分を相手から取ることもできますが)
労働審判で半年、裁判を1審すると1年ぐらいかかると考えられます。裁判所での審理は平日に行われますから、裁判に出廷するなら仕事を休むことになります。打ち合わせにしても弁護士も毎日空けてるわけじゃありませんからやはり打ち合わせで会社を休んだり遅刻早退することになるでしょう。
つまり、金銭面、労力面(精神面)でも負担を強いられるため、余程腹に据えかねてるとかでなければ「訴えでない」でしょう。裁判中に仕事に就かないっていうなら思いっきりやってもいいでしょうけど。
あくまで俗に言う「サービス残業等の未払い賃金」は会社側も「そんな事実はない」と争う姿勢になることが多いので、「15万の基本給が未払いになっている」ようなケースとはわけが違います。
争う場合、相手は記録上はどういうわけか「労働の事実はない」という証拠を出してくるのですから、こちらの出す証拠とどちらが信憑性があるのか、という話になります。
訴えてもこちらの証拠が薄ければ負けたり、示談になったりすることも想定はしておかなくてはいけません。
「そんな会社ともうかかわりたくない」と思う人が多いだろうというのもありますから、退職後に訴えて労力をかけるよりも、新しい仕事でしっかり稼ごうと考えるのかもしれません。
嫌なものにはフタをしたいのが心情でしょう。