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種子として販売されないミント類について
ミントには種類が多いですが種子として一般的に 見かけるのはミント・ペパーミントくらいです。 フルーツ系の香りのものなど苗でしか取り扱いが ないのは何故なんでしょうか?
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他の方も回答してらっしゃるのですが、ミントの類は非常に交雑しやすくミント同士の他に他のシソ科植物との間にも異種間雑種が作れたりするのだそうです。現在ミントの原種の他にフルーツの香り系などいろんな改良種が存在しているのはこのおかげなのですが、これは交配して育成した後に香りの良い物を選抜した物がほとんどの様です。その特徴を固定化するにはかなりの年数が必要なので固定化されていない可能性もあり、種子を採ろうとすると親株とは違う香りの物が出現してしまう可能性もあり、しかも中には変な匂いや不快に感じる臭いの物も出て来ます・・・。 外国では昔からミントを利用していて税金として納めたなど高価な物だったので品種改良も盛に行われています。 あまり知られていませんがペパーミントと言う種類は「人が3種類の原種を掛け合わせた交雑種が起源で野生には存在しない」商業作物。外国ではこのペパーミントを更に交配させて選抜・固定化し多くの品種が作られています。なので海外の種苗会社から性質が固定化されている品種の種子が販売されていて、実生から大量の苗を作っての栽培もできます。 ただし、日本で販売されているペパーミント種子の場合品種としては固定化されていないのかまだ不完全なのか、「日本の種苗会社名で売られているペパーミントの種子」を蒔くと個体差が出やすいです。葉の形が違ったり毛深い物などいろんな見た目の物が多く出ますが困ったことに香りの強さや良さに差が出やすく、そのまま皆栽培しても中には性質が劣った物が育ちます。なのでその場合は自分で一株一株香りを嗅いで確かめ良い物だけを残し、候補から外れた物は全て燃えるゴミとして収集に出し(そこらに捨てておくと一度すっかり乾燥しても再生してしまい根が出て育ち蔓延るので、しっかりと処分する事)残った数株の「気に入った香りの物」を育て、もし殖やす場合その株から挿し木や株分けを行ってください。なのでペパーミントを種子から育てる場合は芽が出てから収穫できるまでの期間も長く手間やお金を多くかける割には結構割高となるので、最初から良い香りの苗を買って栽培し挿し木や株分けで殖やした方が「確実に香りの良い同一の品質の物を早めに多く」殖やせます。 スペアミントも種子で売られていますが、こちらの種類は元々は野に生えていた原種で市販の種子は原種から出現した優良な性質の個体を選別し性質を固定化したものです。なので別の種類の混血では無いのでペパーミントから比べれば酷く劣った物と言うのは出にくいと思います。ただし、ミント類は原種の自家受粉であっても種子から生えた物には個体差が出やすく、スペアミント系だと特に突然変異由来で出来て固定化されたミントの品種も多いです。その特徴は葉の形や香りなど多岐にわたるので、実生で育てると変異した個体が出てくるかもしれません。なので香りの弱い物や香りに馴染みにくいクセが有る様でしたらやはり処分した方が良いのかもしれませんね。 他に種子で売られているのはペニーロイヤルミントと言う匍匐性の小型の種類です。これは食用の種類では無く、畑のアリ除け(よく殖えるので逸出に注意)や、ペットの首輪を手作りする時に乾燥葉を詰めてノミ除けに使うそうです。他に香りを嗅いで楽しんだり、草丈が低く花も可愛く扱いやすいので背が低めなワイルドフラワー系植物を使うアレンジにも使えます。 日本には元々ニホンハッカと言う野生種(原種)が山野に自生していました。現在純粋な野生のニホンハッカは滅多に見られず自生も山の人が入りにくい場所くらいにしかない事でしょう。ニホンハッカの名前で山野草を扱う業者が売る事もありますが、物によっては野生由来の物では無い可能性もあります。 時々人里にハッカが生えている場合だと、大抵は野生の物では無くほぼ「大昔に作物として栽培されていた物が栽培が廃れた後に逸出・野生化したもの」と考えて良いです。ただし、これらは種子で殖えた物もあるでしょうからすでに品種としての特徴は失われていて元の品種名は名乗れません。品種名を引き継げるのは人の管理下で挿し木や株分けで殖やされた物だけです。 日本でも昔から薬草として栽培されていて、元々野生種から選抜・改良された品種がいくつもありました。更に中国大陸や朝鮮半島に自生しているニホンハッカの近縁種と掛けあわせ多収獲を狙って作られたアジア種との交配由来の品種もあります。 更に、北海道のオホーツク海沿岸で明治期にハッカ原種(野生種)が発見されハッカ栽培が始まった頃、本州の品種やアジア種との交配由来の品種などの従来種では当時の運搬技術では種根が到着するまで日数がかかりすぎ輸送中に傷んでしまい植えても根付かず導入が難しかったり、品種によっては気候が合わずなかなか育たなかったり、現地野生種の改良品種では収量も少ないのでかなり早いうちから現地野生種や従来品種とペパーミントなど西洋種のミント(おそらく種子で輸入)との交配・改良が盛んにおこなわれています。そのおかげで主な生産物のメントール含有率がかなり増え、農家が蒸留し絞った油を集荷し精製・出荷する工場の建設などで栽培規模が増え北海道が日本のハッカの主要産地となり、一時は世界中で生産され流通したメントールの70パーセントくらいを北海道産が占め、欧米に大漁に輸出されました。 これはミントの性質の交雑しやすい特徴を上手に利用できた例です。でもその交配を行うには専門知識と高い技術が必要で交配・改良は北海道大学の農学部や北海道各地の農業試験場で行われ、とても多くの品種が作出されました。 日本でのハッカの商業栽培は人工的に作られたメントールの方が安価だったりブラジルでの大規模栽培などに影響され昭和三十年代位から廃れましたが、現在製薬会社との契約栽培などで細々とですが今でも行われています。 現在日本のハッカ品種はインターネットのハーブ専門店で品種名付きで販売されていますが、そんなわけで一言に日本のハッカの品種と言っても「原種を選抜・交配後固定化した物」「アジア種と交配した由来の物」「西洋種と交配した物」と3つの系統があり、それぞれ性質などが違いますから、もし購入される場合は品種名が解っている物をまず候補に挙げその品種の系統を調べてからご自分の住む地域でも育ち易そうなものをお選び下さい。現在特に多く取り扱われている‘ホクト’と言う品種は北海道作出品種です。この品種は薄荷の商業栽培後期に作出された品種で、交配親両方とも西洋種の血が入った交配品種なので株の特徴も西洋種の特徴が強く出ておりニホンハッカとしての特徴は薄れていますし、病害虫に弱い所があり他の品種と比べると地域や植える土質によっては育ちにくいかもしれません・・・。我家には北海道のハッカ原種と思われる物や(鑑定してもらったところ栽培種では無い野生の物と言われました)オホーツク地方で薄荷栽培をしていた親戚の家で実際栽培されていた品種などニホンハッカの品種が数種あるのですがどれも強健なのに比べ、‘ホクト’だけは購入して植えても定着せず、早いうちに絶えてしまいました・・・。 ミント好きな方はいろんな香りの種類を集めて栽培している方も多いと思いますが何種類も近くに植えている場合は、「蕾が出てすぐが一番香りも強く収穫適期」なのでその頃に刈り取ってしまうと良いです。種子は絶対に付けさせない事。もし種子が出来てしまえば粉の様に細かい種子は下の地面にこぼれたり風に乗って周囲に散らばって行きます。それが芽生え育ってしまえば見つけた時にはもう絶やせない規模になっているかもしれません・・・。私の体験ではスペアミントの地面植えを抜いて処分するのに、毎年土から地下茎を掘り出し続け完全に絶やすのに5年もかかりました・・・。 フルーツ系の香りなど元の種類や由来の良く解らない物の中には異種と交配されている可能性がある物もあり、もし遺伝子が複雑だと種子を採って蒔けば交雑した株が生えてきてしまう可能性も高めです。それを避けるためにもうっかり花から種子が出来ない様に蕾が見えてき次第取ってしまうか花が咲いたら切り取って切り花として飾り楽しむなど、栽培している株の方の質を落とさないためにも気を付けて下さいね。
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- jhayashi
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素人です。 非常に交雑しやすいから 種の保証 難しいんでしょうね 挿し芽で同じ遺伝子のを増やした方が楽でしょう
お礼
ご解答ありがとうございます。 挿し芽は簡単だし香りの良いものだけを選んで増やせるから・・ とは聞いていたんですが、交配しやすいんですね。 ミント類はあんなに増えるのに長年不思議でした。
お礼
大変詳しく教えていただき有難うございます。 長年のモヤモヤがすっきりしました。 実は表庭でホクトを地植えしていますが 話に聞くミント系の増え方をしなかったので 環境が悪いのかと思っておりましたが そういう理由があったとは・・・ (これは増やしたかったのですが。) そして裏庭にはプランターでオレンジミントと パイナップルミントを育ててますが皆虫に 食べられて種どころか花も付けないで 毎年終わっています。 でももし花が咲いたら種がつかないように 気を付けます。