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100人の不倫妻の物語
- 100人の不倫妻の物語について
- 村の特殊な社会慣習を持つ100人の夫たちの物語
- 村の夫たちが妻の不倫を知らずに彼女たちを称える物語
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むしろ、不貞の妻の人数に注目すると良いです。 聖職者が、「この中に少なくとも一人不貞の妻がいる」、といった後の状況を考えます。 1. まず、不貞の妻の人数が1人の場合 A夫の妻A子が不貞としましょう。この時、A夫が知っていた情報を見ると、ルールにより自分の妻が不貞かどうかは知らされないので、A夫は「A子以外0人の妻が不貞」という情報を持っていました。 ところが、聖職者が「少なくとも一人不貞の妻がいる」と言ってしまったので、これによりA夫にはA子が不貞であることがわかります。よって、次の会議の時A夫はA子を呪う事になります。 補題1. 不貞の妻の人数が1人の場合、第1回目の会議で不貞の妻を持った夫(1人)が名乗り出て妻を呪う 2. 次に不貞の妻の人数が2人の場合 A夫、B夫の妻が不貞とします。 やはりA夫の情報に注目しますと、ルールにより自分の妻が不貞かどうかは知らされないので、A夫は「A子以外1人の妻(この場合B子)が不貞」という情報を持っていました。 この時、A夫はまだ不貞の人数が1人(自分の妻は不貞でない)か、2人(自分の妻は不貞である)か不明なので、第1回目の会議では名乗り出ません。A夫からすると、「もし実際は1人(自分の妻は不貞でない)だとすると、補題1から、第1回目の会議で不貞の妻を持った夫(この場合B夫)が名乗り出るはず」と思っているはずです。B夫も全く同様(「もし実際は1人(自分の妻は不貞でない)だとすると、補題1から、第1回目の会議で不貞の妻を持った夫(この場合A夫)が名乗り出るはず」と思っている)なので、B夫も第1回目の会議では名乗り出ません。結局、第1回目の会議ではだれも名乗り出ません。 この段階で、補題1の状況とは反することが分るので、A夫もB夫も不貞の妻は自分の妻を含めた2人であることがわかります。よって、第2回目の会議でA夫とB夫が名乗り出て、自分の妻を呪います。 補題2. 不貞の妻の人数が2人の場合、第2回目の会議で不貞の妻を持った夫(2人)が名乗り出て妻を呪う 3.不貞の妻の人数が3人の場合 A夫、B夫、C夫の妻が不貞とします。 同様に、A夫、B夫、C夫は、初めは不貞の妻が自分の妻を含めた3人か、それとも含めない2人か分からない状況です。A夫、B夫、C夫ともに、「もし不貞の妻の数が(自分の妻を含めない)2人だった場合、第2回目の会議で他の2人の夫が名乗りであるはず」と思っているので、第2回目の会議まではだれも名乗り出ません。 よって補題2の状況と差異がでるので、第3回目の会議でA夫、B夫、C夫が名乗り出て妻を呪う事になります。 補題3. 不貞の妻の人数が3人の場合、第3回目の会議で不貞の妻を持った夫(3人)が名乗り出て妻を呪う 以下同様です。
お礼
お見事! 村人の夫婦の組が3組しかいない場合は、3段階に分けるより直接示したほうが早いかもしれません。 ・第1夜は各人は、ほかの2人の妻がクロである(不貞をはたらいた)ことを知っているが、自分の妻については情報がないので、全員自分たちの妻を賞賛する。 ・これを見たAとBは、「CがA妻あるいはB妻の少なくともどちらかはクロであることを知っている」ことを知る。なぜなら、A妻とB妻がどちらもシロ(不貞でない)なら、少なくとも1人はクロである(聖者の言明)ので、Cの妻がシロではあり得ず、Cが妻を賞賛したことに矛盾するからである。 ・しかし、AとBは妻たちの少なくともどちらかがクロであるとしても、自分の妻がクロとは断定できないので、第2夜も妻を賞賛する。同じことはCの妻についてもいえるので、Cも妻を賞賛し、全員が自分の妻を賞賛する。 ・Aは、第2夜にBがB妻を賞賛するのを聞いて、A妻がクロであることを知る。なぜなら、A妻がシロなら、上のCを通ずる情報(A妻とB妻の少なくもいずれかはクロであるという情報)から、B妻がシロであることはあり得ないからだ。同様にして、BもCも自分たちの妻がクロであることを知り、第3夜は全員「呪う」ことになる。 以上は私の友人が私にくれた回答を少しmodifyしたものだが、回答者さんの回答のように「不貞妻」の数に注目したほうが不貞妻が100人の場合に拡張するとき容易かもしれません。つまり、数学的帰納法が適用しやすいかもしれません。 なお、この話の面白いところは一見すると聖職者の言明「この村には不貞妻が(少なとも1人は)いる」という言明は余分に見えることです。各人、ほかの人の妻が不貞であることを知っている(したがって少なくとも1人は不貞妻がいることを知っている)にかかわらず、聖職者の「言明」がないと、妻たちへの賞賛が永遠に続くことになるからだ。 この話は、Roger B. Myersonの"Game Theory: Analysis of Conflict"(1991,Harvard University Press)という本の65-66ページから引用したもので、Myersonはこの話を「有名な寓話」として紹介しています。Myersonは2007年度のノーベル経済学賞を受賞したゲーム理論家。