脂質にはいろいろあるのに、種類を問わず全体で、多い、少ない、などと議論しても意味がありません。
脂質の中には必須脂肪酸と呼ばれるものがあります。これは体内では合成できないため食物を通じて摂取する必要があるから"必須"と呼ばれているのです。
逆にいえばそれ以外の脂質は体内で合成できるから、食物からの摂取はゼロでも人間は死なないということです。例えばあなたが食べているという果物にはフラクトースという糖質が含まれていますが、これはほぼすべて体内で脂肪になります。
必須脂肪酸にはω3系とかn-3系、あるいはω6系とかn-6系と呼ばれるものがあります。最低量はよく判っていませんが、国連の食糧農業機関(FAO)は総摂取カロリーの3%以上は必須脂肪酸から摂取することを推奨しています。脂肪酸に関する必要量に関するデータはそのくらいしかありません。
ちなみにあなたの食事には必須脂肪酸のうちのDHAやEPAが極端に少ない可能性があります。DHAやEPAは魚介類に豊富に含まれているのでシーフードも食べた方がいいですね。お味噌汁を飲むのならダシをたっぷり効かせるといいし、ダシをとるのに煮干しを用いると煮干しの骨からDHAやEPAが味噌汁に溶け込むので、これらの栄養素が補われますよ。
DHAやEPAが欠乏すると学習能力が極端に低下するなどの症例が報告されています。人間は遺伝子的に最も近い類人猿に比べても脳が極端に大きいですが、脳は脂肪で出来ています。人間は脂肪を体内に蓄積するメカニズムを進化の過程で入手できたから脳を大きくすることができ、高度な知能を手に入れることに成功したのです。さらに脳の神経システムを発達させるためにはDHA、EPAが不可欠です。
ダイエットのことを心配するなら、むしろ減らすべきは糖質です。人間は生きて行く上で必要な量の糖質をすべて体内で合成できるので、食品から摂取する必要が全くありません。食事で糖質を減らしたら、その分のエネルギーは脂肪の摂取を増やして補うといいです。脂肪は糖質といっしょに食べるから太るのであって、脂肪だけならほとんど太りません。