こんにちは。
#3、5です。
質問者さんの好意的な意向に沿い、必要な意見は揃ったと思います。また少し長文になりますのでご容赦下さい。
#4、7さんの入れてくださった、#7の回答は大変整然としており分かりやすいと思います。ですが、最初からこのように説明して頂ければ、質問者さんを混乱させたり、他の回答者に不必要な回答を繰替えさせたりすることはなかったのではないでしょうか。私は、#4、7さんがこれだけきちんとした知識をお持ちでありながら、他の回答者を意識するあまり、思考・考察に客観性を欠いてしまっていることを大変残念に思います。従って、この回答は反証となります。
>タガメの話に戻りましょうか。タガメは交尾し産卵するとその卵塊を雄が育てます。雌は産卵後,直に卵が発育し,この行動を何度も繰り返します。
タガメの生態に就いては、一応自分でも調べました。ですが、それを説明するのは、飽くまで#4、7さんの役割であると考え、これまで回答を差し控えました。
前回、繁殖期に二度も産卵できる動物はいないと申し上げましたが、投稿したあとで、私の大きな過ちであることに気付きました。このサイトの生物のカテで、ツバメの産卵に就いての書き込みを読んだときです。そう言えば、ニワトリは毎日卵を産みますよね。ですから、やはり受精、妊娠もしくは包卵、出産などのプロセスを含めて、それは日常茶飯事ではないということに訂正させて下さい(ゴメンナサイ)。そして、そこに、タガメのオスの子育てという論説が成立することにもなるのかも知れません。
タガメのオスは子育て(包卵)をするわけですから、その間、メスはオスからアプローチを受ける機会が減るというのは理に適っていると思います。また、タガメのメスが産卵を済ませたあと、直ちに次ぎの産卵の準備を始めることは間違いありません。ですが、次ぎの産卵までの準備基間はいったいどのくらいなのでしょうか? タガメのオスの包卵は10日ほどということだそうです。恐らく、計算が合わないはずです。
そして、
>雌は産卵後,直に卵が発育し,この行動を何度も繰り返します。
この部分にはもう少し正確な説明を当てはめて下さい。
タガメのメスの産卵は、1シーズン(5月~9月)に3~4回です。
加えて述べるならば、タガメのオスも、複数のメスとの交尾が可能という点では、他の動物と同様に、メスの奪い合いにおける「数の原理」の例外ではありません。
>雌にとっては,自らの遺伝子を多く残すには,多くの雄に自らの卵を育てさせる方がよいわけです。小さな雌は排除し,雄の育てている卵塊を壊してでも,その雄に自らの卵を育てさせます。
>雄にとっては,自らが育てている卵塊は自らの遺伝子を持つわけですから,一応は防御します。しかし,大きな雌と争っても勝ち目はありませんので,結果的にその雌の卵を育てる事になります。
これが、タガメの極めてユニークな生態だと思います。産卵機会が多く、精力的なタガメのメスは、オスを選ぶというよりは、数をこなして優秀な子孫を残すという戦略が可能になるわけです。そして、私は、ここから「オスの子育て」が「逆の奪い合いの原因」であるという「解釈の間違い」が生まれたのではないかと思います。
さて、ここで本題に入るわけですが、この質問においてタガメが提案されたことは大変有意義なことだと思います。ですが、まず問題にされなければならないのは、このパターンが、タツノオトシゴのように、オスが子育てをする全ての動物に当てはまるかどうかです。但し、これが他の全ての例に当てはまらなければ間違いだと言うのでは決してありません。
お腹に卵を抱えたタガメのメスは、何故暴力的な行為まで行なって自分から交尾を迫るのでしょうか?
恐らくそれは、オスの数が少ないからでも、他の生物と違う原理によって生きているということでもないでしょう。本質的な捉え方をするのであれば、タガメのメスがそのような行動を取るのは、お腹にたくさんの卵を抱えている以上、できる限り早く産卵を済ませなければならないからです。さもなくば、自分の生命や、何と言っても残すべき大量の子孫の元を失っていまうことになりかねません。
私が申し上げたいのは、このような解釈を宛がうのであれば、それはタガメが例外であるということではなく、逆に、オスが子育てをしない多くの動物にも当てはまるということなんです。つまり、発情期を迎えたメス、異にお腹に卵を抱える昆虫や魚類などでは、このような理由から、メスの方からアプローチが成される可能性も十分にあるということではないでしょうか。このことは、取りも直さず、生涯で自分の子孫を残す機会の限られているメスが、どのくらい出産を望んでいるのかを切実に物語っていると思います。そして、これこそが、質問者さんが求めておられた答えそのものでもあるように思えます。これに就いて、#4、7さんからご説明を頂きたかったと申し上げた主旨をご理解頂けるでしょうか。
私の、この考えが正しいのかどうかははっきりとは分かりません。ですが、今回の質問で、今まで考えてみたこともなかった「逆の奪い合い」や、珍しいタガメの生態にも触れ、自分でも過ちを犯しながら、大変勉強をさせて頂きましたので、それなりには、恐らく1歩くらいは前に進んだ結論ではないかと思います。
このように、私はしばしば生物のカテで棘のある回答をしますので(先日、とうとうひとつ削除されてしまいました)、コチコチのダーウィン主義者と思われがちですが、実はその通りです。ただし、ダーウィン進化論が揺るがし難い正論であるとしているわけではなく、それは、生物の多様な世界の様々な現象を説明するのに極めて適していますので、このような質問に就いて考えるときにも大変役に立ちます。私は、そのダーウィン進化論の業績を信望しているわけです。
遺伝子といったものの基礎的な知識を知るのであれば、有用な書物は他に幾らでもあるでしょう。しかしながら、そこからどのような考察が展開されるかに就いては「利己的な遺伝子」から学ぶべきものは山ほどあります。私は、この本は、問題を解決する手段を教えてくれる良書だと思います。
お礼
3回目のご投稿有り難うございます。 また多くの方のご投稿にも深く感謝申し上げます。 素人の私の単純な質問に対し、専門家ともおぼしき方を含めてこれほど真剣に議論いただいたことに恐縮しております。一方、望外の喜びも感じています。 私自身は質問事項について大変勉強させていただきました。その収穫とともに、先人が営々と築かれた学問の深さというもにに改めて驚かされました。 さて、議論もほぼ出そろったと思います。頃合いを判断するのも質問者の責任ですので、ここで一応締め切らせていただきたいと思います。 この場所を借りて投稿いただいた方々にお礼申し上げます。