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足回りの硬さとコーナーリングスピード

 もし完全にフラットな路面が存在したとして、その路面上を車で定状円旋回し続けた時の限界速度は、足回りを硬くすればするほど高くなるのでしょうか?  実際には完全にフラットな路面で定状円旋回なんてありえない話ですが、理屈として気になるので質問させていただきました。    判る方が居られましたら、ご教授願います。  

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  • LB05
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回答No.12

 おクルマの研究で食ってる者で、専門は車両運動性能です。  もう回答を締め切られた様な雰囲気ですが・・・・細かく回答します。これが正解です、と言い切ってしまいましょう。 >もし完全にフラットな路面が存在したとして、その路面上を車で定状円旋回し続けた時の・・・  まず路面はガラスの様に完全にフラット(アスファルトの主成分である砕石による凹凸さえない状態)で、且つ定常円旋回だけとしましょう。  この状態では、乗心地やロードホールディング、それに直進からのハンドル操舵時(=過渡特性)は無視してよいことになります。  で、結論を先に述べますと。  サスペンションなどない、完全なゼロロールの方が限界は高くなります。  その理由は、2つあります。 (1)車体がロールすると、重心点が若干旋回外側に移動し、その分旋回外輪の荷重が増えます。  クルマのコーナリング性能を単純に向上させるには、タイヤの摩擦力を減らさない努力が必要で、この摩擦力はタイヤ4本の摩擦力の総和で決まります。  ここから先は『車両運動力学』或いは『タイヤ力学』という学問の話になり、説明し出すと長くなるのでハショりますが、要するに制動中も旋回中も、4輪それぞれへの荷重移動量をなるべく減らす必要がある、ということです。  この点で、サスが動いてロールするサスは不利です。  実際には、ロールで重心点が移動する量は、ロードカーの場合最大でも20~50mm程度で、果たしてこんな小さい移動量で旋回性能が変わるのか?っというと、この程度の重心点の移動でも、フィーリング上で明確に差が判るほど変わります。  故に、タイヤ4輪分の摩擦力の総和を高い数値に維持する為には、ゼロロールがよいということになります。 (2)サスペンションが動くとタイヤのホイール・アライメントが変化し、路面との摩擦力も変化します。  タイヤは、最大の摩擦力を発生させる為になるべく路面と垂直に立てておく必要がありますが、しかしサスが動くと当然対地キャンバ角変化が発生し、タイヤの摩擦力が変化します。  実際には旋回中のタイヤは横力により変形し、旋回外輪で対地キャンバを若干ネガティブにしておかないとフットプリント(タイヤの接地形状)が縮小しますが、いずれにしろ過大なキャンバ角変化(殆どのロードカーでは、旋回外輪は車体のロール角に伴いポジティブ側に倒れます)はタイヤの摩擦力を減少させます。  故に、タイヤ1輪で最大の摩擦力を得るためには、対地キャンバを変化させない=ゼロロールがよいということになります。 ・・・・っというワケですが、ついでに。  皆様、クルマの旋回運動に誤解がある様なので、それらについても真相?を述べておきましょう。 ※実際のクルマの旋回では固過ぎるサスはダメ、というのは事実で、サスのないレーシングカートなどではフレーム剛性の高低がハンドリングを支配しています。  固いサスがダメというのは、以下の2つの理由によります。 (1)例え路面がガラス様とした平滑でも、ゼロロールは過渡領域(ハンドルを切ってから定常円旋回に入るまでの期間)ではあまりよい方向には働きません。  これは・・・・ イ)ゼロロールの場合、ハンドルを切った瞬間の左右荷重移動は瞬間的に起こり、荷重移動のオーバーシュートにより旋回外輪の荷重が過大となります。  これは、ハンドルを切ることによりタイヤ左右輪の摩擦力の総和が減少することを意味します。 ロ)車両の旋回運動特性は、結局のところ横加速度とヨーイングによって語ることが出来、ばねやスタビやダンパを変えてロール剛性や減衰特性を調整するなどは、全て横加速度とヨーイング特性の『味付け』を行っていると言い換えられます。  で、横加速度とヨーイングの応答性は、フェイズが近い(=ズレが少ない)方がフィーリングがよいことが判っていますが、ロール剛性が無限に高いと言えるゼロロールでは、横加速度とヨーイングの応答性の乖離が激しく、フィーリング上の違和感が払拭出来ません。 ・・・・っというワケで、ゼロロールはよいとは言えません。 (2)実際の路面は、サーキットやテストコースの様なフラットなところでさえ細かい凹凸があります。  この時、サスペンションが全く動かないゼロロールではポンポンはねて容易にタイヤの荷重が抜け、タイヤ4輪の摩擦力の総和が減少します。  故に、ゼロロールはよいとは言えません。 ※上述した様に、サスペンションの役割は『ショック吸収』だけではありません。  車両運動力学上は、横加速度とヨーイングの応答性の差や、左右荷重移動特性をコントロールする意味が強く、故にサスペンションのチューニングは困難を極めます。 ※スカイフック理論は、振動工学上の減衰項を決定する為のもので、車両運動特性を決定するものではありません。(スカイフック理論そのものでは、直接は車両運動を改善出来ません。)  御質問のケースは純粋に旋回運動に関するもので、この理論はあまり考慮する必要がない、と言いますかあまり関係ない話です。 ※最後に、全くの余談ですがゼロロールサスペンションに関して。  過去に、アクティブサスペンションと言うモノが市販されていたことがありました。  これは殆どのヒトに『ロールしない』『ピッチしない』程度の単なる姿勢制御サスだと思われていますが、実のところ『車両姿勢がフラットなまま路面の凹凸を吸収し、4輪それぞれへの荷重移動量を調整可能』とするサスでした。(車両姿勢は2~3Hz、乗心地やロードホールディングにかかわる振動は5Hz以上で、アクティブサスはそれらの振動領域を別々に制御出来ます。)  上述した様に4輪それぞれの荷重移動特性がハンドリングの多くを決定していることを勘案しますと、ハンドリングに於いてはアクティブサスペンションこそが『サスペンションの最終形態』だった、と言えます。  荷重移動の量や方向をコントロールする=サス側から推力を出し、しかもその推力を数十Hzまで制御する、のがアクティブサスペンションのキモなので、名前がよく似ていますが推力を全く出さないセミアクティブサスペンションは根本的な働きや効能が違います。セミアクティブはアクティブサスのメリットを何も持っていないと言っても過言ではありません。  アクティブサスが滅んだのは、専らコストと(市販車としての)耐久性が問題だったからで(史上初の市販油圧アクティブサス車であったトヨタ・セリカのサスは1台分で¥120万以上もし、しかもひどい耐久性でした)、今後またアクティブサスが登場する可能性は十分あります。(レーシングカーから市販車、トラック、バスに至るまで、アクティブサス以上のサスは力学的に考えられませんし、何か別のデバイスで代用することも出来ません。)  

arau-otoko
質問者

お礼

 御回答ありがとうございます。 >車体がロールすると、重心点が若干旋回外側に移動し、その分旋回外輪の荷重が増えます。  この理屈、納得しました。もし限界速度領域で、路面とタイヤが直角になるようキャンバー角を調整できたとしても、ロールによる重心移動により、柔らかい足回りでは外側のタイヤに掛かる荷重が大きくなってしまい、限界速度が低くなってしまうんですね。    ということは、先に私が出した結論は覆り、LB05さんの御回答が正解ということになります。  納得できました。どうもありがとう御座いました。

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その他の回答 (11)

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回答No.1

細かいことは良くわかんないけど、 4個のタイヤが平面を地面につけ、同じ加重がかかる状態が続くことが望ましいと考えると、 でこぼこがない路面上でのコーナーリングではサスなしのほうがロールがなく重心移動もなく 早く曲がれそうですね。 ゴーカートなんかそんな感じだと思います。  限界に近い状態で走っているときに、路面のパンプを全く吸収できないとなると、その時点で トラクションバランスが一機に崩れてスピンすることになると思いますから、まずいですけどね。 あとは、加速特性に関しては、重心移動が有利に働くことも有りますから、早く曲がれたとしても 早く走れるというわけではないでしょうしね。

arau-otoko
質問者

お礼

 ご回答ありがとうございます。  私も路面の凸凹や加減速のない環境だったら、固いほうが早く曲がれるのではないかと考えています。実際のところはどうなんでしょうか?

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