マッコンキー培地の組成およびpHは、確認されましたか?
この培地は、グラム陰性菌の中でも腸内細菌群の乳糖分解性を指標として、いくつかの菌種を区別するための培地です。
つまり、乳糖を分解して酸を生成したかどうかをpH指示薬で観察できるようにした培地です。
また、胆汁酸が添加されているため、グラム陽性細菌は生育できないようになっています。
培地が決められた通りにつくられていれば、未植菌ではペプトンの色(黄色)をしているはずです。
それは、培地組成に含まれるニュートラルレッドが中性では黄色なので、培地に赤みのある色はでないようになっています。
ちなみにマッコンキー培地は通常pH7.2で調整します。
この培地では、3つのパターンの生え方をする細菌が出てきます。
1、生育しない
2、生育するが、呈色はしない(プレートは黄色のままで、無色のコロニー)
3、生育して、濃い赤色の呈色(コロニーはレンガ色の混濁したコロニー)
1、はグラム陽性細菌ということになります。ちなみに、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)はグラム陽性菌ですので、マッコンキー培地では非生育細菌の指標とされています。
2、はグラム陰性菌ですが、乳糖を分解しないという菌を示します。サルモネラなどがこれにあたります。
3、はグラム陰性菌で乳糖を分解し、培地に酸を生産した菌を示します。pHが下がるのでニュートラルレッドが反応し、赤色になりますし、胆汁酸が析出し、混濁した状態になります。大腸菌がこれにあたります。
今回の実験は、生育しないはず(陰性のコントロール)であるStaphylococcusの培地で赤色呈色があったとのことですが、培地作製時に問題があったのではないでしょうか?
つくった時の色が既に淡い赤色を呈しているのなら、それはpH調製をしていないので既にニュートラルレッドの色が出ているのではないかと考えられます。未植菌の培地を同時に培養するコントロールは置いていますか?
菌株を植えていないのに呈色したりする場合は、培地調整がきちんとできていないので、菌株の同定(大腸菌か同課などの判定)は全くできない実験をしているということになり、意味がありません。
また、ネットで、Staphylococcusは淡いピンクという情報があったということですが、きちんと微生物学の本や学術書で調べた正しい情報を元に実験をされた方がいいでしょう。私が使っている本培地および標準菌株は、淡いピンクにはなりません。
お礼
MCAにフェノールレッドが含まれていたようです。 培養できるできないという結果自体はあってたので、大丈夫そうですね! 詳しい解説ありがとうございました! 実習発表にも参考にさせていただきます!